東欧の名将がJ1札幌を躍進させる理由 選手を驚かせた「超攻撃的」の裏にある本質

ミシャがこだわる「チーム全員で勝ち、チーム全員で敗れる」という哲学

 決して長い日々ではないものの、この1年半ほどの間にミシャの言葉を耳にしてきたなかで、より強く感じるのが「チーム」というものへのこだわりである。試合後の会見などで個人評価をすることはまずないし、得点者を個別に称えることもない。「誰が得点を取ったとしても、それはチームの得点」だからだ。「サッカーというのはチームスポーツであり、チーム全員で勝ち、チーム全員で敗れる」という哲学は絶対に崩さない。

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 こうした部分について、早坂良太は「せっかくサッカーという団体競技をやっているのだから、チームとして戦う意識を強く持てるのは意義深い」と歓迎する。そしてチームの定義はグラウンド内にとどまらず、移動の飛行機やホテルの手配に奔走する李成樹マネージャーらにも、「君はいつもいい仕事をしてくれているね」としっかり言葉にして伝えている。チームとしての“一体感”はミシャ就任以前から札幌が大事にしている部分だったが、そのストロングポイントも間違いなくより強まっている。

 そうしてミシャ色がほどよく浸透してきた就任2年目の秋。山の木々が葉の色を変えるかのようにじわじわと変化をしてきた札幌が、ついに自分たちの歴史を大きく塗り替えようとしている。J1での初タイトル獲得まで、あと一歩のところまで近づいた。就任時に発せられた指揮官の言葉が、現実となるのか否か。

 26日、いよいよ勝負の時だ。東欧の名将に率いられた札幌が、チームとして辿り着いた初めてのファイナルの舞台で、チームとして栄冠をつかみにいく。

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