久保建英が挑むマジョルカの“固い絆” 「高いクオリティー」で変革の旗手になれるか

モビスター・プルスのアドリアン・フォウス記者【写真:高橋智行】
モビスター・プルスのアドリアン・フォウス記者【写真:高橋智行】

予想外の早いタイミングで出場も前半の攻撃は左サイドが起点 守備で走り回ることに…

 迎えたヘタフェ戦、首都マドリードから30分ほどの距離にあるため、スタンドには久保の勇姿を一目見ようとする大勢の日本人の姿が見られた。そんななか、モレノ監督はやはりチームに大きな変革を行うことはなく、久保はバレンシア戦、ビルバオ戦に続きベンチスタートとなった。

 ビルバオ戦からのスタメン唯一の変更点は、怪我で招集外になったCBアントニオ・ホセ・ライージョに代わり、DFシスコ・カンポスが入ったのみ。また、アグベニェヌが戻ってきたが、引き続きババが左サイドバックでプレーした。

 徐々に出場時間を増やし続けている久保ではあるが、この日も出番は後半からになると思われた。しかしゲーム序盤に、キャプテンのMFサルバ・セビルの負傷により、早い段階で出場の機会が訪れることとなった。久保は前半10分過ぎからアップを開始すると、0-1とリードを許すなかで前半19分にピッチへ入った。

 ヘタフェは昨季のリーグ戦を4位でフィニッシュし、今季のUEFAヨーロッパリーグに参戦しているクラブ。今季はここまでリーガで一度も勝利していないが、マジョルカにとっては格上の相手である。チームが4-1-4-1でプレーするなか、久保はいつもどおり右サイドハーフに入るも、ヨーロッパでも特に激しいサッカーを信条とするチームを相手に、簡単にボールを持たせてもらえず、守備で走り回ることとなる。

 また攻撃が左サイドのMFラゴ・ジョニオルを起点としていたことが、さらに拍車をかけた。そんな状況下の前半33分、PKでヘタフェFWホルヘ・モリーナに追加点を奪われ、0-2で前半を終了した。

 後半に入っても状況は大きく変わらず、ヘタフェ優勢のまま試合が展開していく。後半10分、DFにブロックされながらも初シュートを打った久保だが、相手の激しいチャージに何度も倒され苦しんだ。さらに同18分に追加点を決められ0-3となり、チームはいよいよ追い込まれた。

 しかし久保は、後半20分を過ぎたあたりからボールタッチの数を増やしていく。そして迎えた同25分、右サイドから素早く振り幅の短い正確なクロスをゴール前に送り、FWアンテ・ブディミルのヘディングでのゴールをアシストすると、同30分にはFKでヘタフェGKダビド・ソリアの正面を突く強烈なシュートを放った。

 マジョルカはその後、同32分にブディミルがこの日2点目をマークしたものの、同39分にカウンターから4点目を決められた。久保の1本のパスをきっかけに、0-3から2-3と1点差に迫ったマジョルカだったが、最終的には2-4で敗れ4試合未勝利。降格圏手前の17位まで順位を落としている。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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