「牽引車の轍~クラブリーダーのバイオグラフィー~」vol.4 池谷友良(ロアッソ熊本・代表取締役社長) 覚悟が紡ぐ人とのつながり

いつだって意志を貫いてきた

 監督やGMを経て2012年から社長に就任しましたが、それまでは「社長になりたい」なんて思ったこともなかった。そもそも社長になった経緯は、決してクラブが良い状態ではなく、「私のほかに選択肢が無い」という状況でしたから(苦笑)。クラブに大きな赤字が出てしまい、このままでは株主総会を乗り切れない状況でした。クラブ側がどう思おうと、出資してもらっている県や市、スポンサーからの意向をくまざるを得ない中で、私に社長就任依頼が来たわけです。

 実はその1年前くらいに、とある役員から社長就任の打診はあったのですが、その時はお断りしました。やはり「現場に携わっていたい」という思い、そして「単年契約の立場で勝負したい」という思いが強かったからです。サッカー選手、指導者、GMと、いわゆる現場で育ってきた私のモットーは「1年、1年が勝負」。それは社長であろうが同じ思いです。

 ずっと現場で育ってきた私ですから、決して経営的視点に優れているわけではありません。ロアッソにはそういう分野に長けている人材もそろっているので、任せるところは任せればいい。ただ、選手だろうが監督だろうが、現場であろうがフロントであろうが、GMであろうが社長であろうが、やはり信頼関係、人間関係が重要なのは変わりない。私はいつでもそんな考え方を軸に、覚悟を持って、意志を貫いてきました。

 選手時代から現在までそんなスタンスですから、上からも下からも「生意気なヤツだ」と思われてきたと思いますが、それでも先輩方からかわいがっていただいたし、柏時代の教え子だった北嶋秀朗(現ロアッソコーチ)や南雄太(現横浜FC)らも、私を頼ってロアッソに来てくれた。本当にありがたいことです。

 

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