「ジャパンズウェイ」の標語は核心を突いた知恵? 進歩に乏しき日本代表強化の現状

ワールドカップ、アジアカップからチーム戦術に進展なし?【写真:高橋学】
ワールドカップ、アジアカップからチーム戦術に進展なし?【写真:高橋学】

時間が限られる日本代表の強化 W杯、アジアカップからチーム戦術に進展なし

 ナショナルチームの強化は遅々として進まない。パラグアイ戦の日本代表もそうだったが、これはもう世界中同じようなものである。なにせ時間がない。集まってすぐ試合、解散。しばらくしてまた集まって解散。この繰り返しだからだ。

 パラグアイ戦で久々に大迫勇也、南野拓実、堂安律、中島翔哉のカルテットを復活させたのは、ワールドカップ(W杯)予選最初の試合(10日・ミャンマー戦)が間近だったからだろう。この4人で何ができるかはもう答えは出ているので、今さらテストの必要はない。本番直前の調整だ。後半からは堂安と中島を外して、久保建英と原口元気を投入している。

 大迫、南野、堂安、中島のカルテットは時折素晴らしい個人技とコンビネーションを見せていた。ただ、それは4人が最初に組んだ時からすでにあったものだ。進化したわけではない。それもかなりの部分は中島に負っていて、中島がいなくなると威力が半減するのもこれまでどおり。特に進歩も退歩もしていない。

 新たな試みはしている。橋本拳人を柴崎岳と組ませた。冨安健洋の右サイドバック、久保建英の右サイドハーフもテストした。そうやって新たなデータを蓄積していく。時には攻撃のカルテットのように、いきなり機能することもある。というより、代表でトレーニングによって何かを作り出す時間はほぼないので、即興でやってモノになるものを探すしかないわけだ。

 クラブチームの日進月歩に比べると、進化の歩みは非常に遅々としたものである。例えば、GKを含めたパスワークで相手のハイプレスを確実に外す力が日本代表には必要だ。それが足りなかったから、ロシアW杯でベルギーに「空爆」を開始されると流れを変えられなかった。

 しかし、アジアカップでも進捗は特になく、その後も大きな変化はなく現在に至っている。森保一監督をはじめ誰もが自覚しているのに、特に改善されているように見えないのは取り組む時間がないからだろう。中島がいないと攻撃力が落ちるのもアジアカップで痛感しているが、それも依然としてそのままだ。サンフレッチェ広島で“可変式3バック”を用いてJ1リーグを制覇した森保監督が率いていても、代表で3バックをやってみるとなんだかギクシャクしていた。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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