トーレスを輝かせた「魔法のアシスト」 盟友ジェラードと戦ったキャリア最高の3年半

リバプール時代のFWフェルナンド・トーレス【写真:Getty Images】
リバプール時代のFWフェルナンド・トーレス【写真:Getty Images】

現役引退が近づく名ストライカー 引退会見の言葉から蘇ったリバプール時代の光景

His Armband proved he was a red,
Torres! Torres!
You’ll Never Walk Alone it said,
Torres! Torres!
We bought the lad from sunny Spain,
He gets the ball he scores again,
Fernando Torres! Liverpool’s number 9!

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彼のアームバンドがレッズの証
トーレス! トーレス!
そこには You’ll Never Walk Alone の文字
トーレス! トーレス!
我らが太陽の国スペインから連れて来た男
ボールに触ればまたもやゴール
フェルナンド・トーレスはリバプールのナンバー9!

 もうすでに29年間もリーグ優勝から遠ざかっているとはいえ、イングランドの名門リバプールには近年も多くの名選手が所属した。そしてその名選手の数だけ様々なチャントも存在するわけだが、なかでもこのフェルナンド・トーレスのチャントは非常に印象深い。

 原曲は『The Animals Went In Two By Two』という子供番組のテーマソングだが、勇ましいメロディーがマーチのリズムに乗り、歌っていると知らず知らずのうちに気分が高揚する。

 そんな調べに、2007年のリバプール移籍前に在籍したアトレチコ・マドリード時代、トーレスが巻いた主将のアームバンドの裏に『You’ll Never Walk Alone』と、レッズ(リバプールの愛称)のアンセムのタイトルが書き込まれていたという、サポーターなら涙腺を緩ませるようなエピソードが引用され、歌詞となった。

 だからして、このチャントが生み出す高ぶりと、あの頃の“神の子”と異名を取ったトーレスがゴール前で見せた竜巻のような凄まじさが相まると、ただでさえ熱いリバプール・サポーターの愛と情熱がより一層膨張し、スタジアムに勇気と希望が漲った。

 ちなみにジェラードのチャントはワルツの『ケセラセラ』が原曲で、このチャントが歌われる(現在でも毎試合のように歌われるが)と、スタジアム全体に至福が広がる。

 6月23日に行われた引退会見で、トーレスが「最も印象に残るチームメートは?」という質問に対し、「スティーブン・ジェラード」と即答した場面を見て、そんな2人のチャントが耳の奥でこだました。

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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