日本の夏と“相性の悪い”サッカー 水泳シーズンに高校日本一が短期決戦で争われる矛盾

プレーヤーズ・ファーストを目指すなら、無茶な大会を整理すべき

 この夏は欧州から3つのクラブが来日したが、いずれもコパ・アメリカ(南米選手権)出場組は免除されていた。一方で夏に開催される五輪に目を向ければ、サッカーの場合はクラブが各国協会の代表招集依頼に応える義務はない。大事な選手(商品)ほど、しっかりと休養させる必要があると考えるからだ。

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 今、ユース(高校生)以下の選手たちには、明確なオフの定義もなければ、長時間練習に対する指導者への罰則もない。インターハイは世界に例を見ない過酷な大会だが、反面インターハイ出場を逃した監督が、高校選手権に備えて夏に猛練習を課すという光景も消えてはいない。

 時代は流れ、気候も明らかに変化して来ている。もっとも酷暑が叫ばれるずっと前から、欧州では夏休みの確保が義務付けられている。JFAが本当にプレーヤーズ・ファーストを目指すなら、まず無茶な大会を整理し、早急にオフの確保に向けて動き出すべきである。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)



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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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