香川真司は「今も愛されている」 失意のダービーに見た“ドルトムント英雄”の足跡

ドルトムント加入初年に臨んだ“レヴィア・ダービー”でいきなり2ゴールを奪った香川【写真:Getty Images】
ドルトムント加入初年に臨んだ“レヴィア・ダービー”でいきなり2ゴールを奪った香川【写真:Getty Images】

宿敵シャルケとの“レヴィア・ダービー”を現地取材

 4月27日のブンデスリーガ第31節、“レヴィア・ダービー”前のスタジアム周辺には、警官隊に保護されながら会場に向かうシャルケサポーターに牽制を仕掛けるドルトムントサポーターがいれば、試合までの時間をのんびりとビールを飲みながら過ごすファンもいる。早足で席に向かおうとするファンがいれば、待ち合わせに来ない仲間をやきもきしながら待っているファンがいる。彼らは皆、これから始まる伝統のダービーを前にそれぞれの気持ちを高めていた。ピリピリした緊張感は、まだ感じない。

 ふと興味を抱き、本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクの周りで楽しそうに仲間と話していたドルトムントカラーの3人組に声をかけてみた。

 ハネス、イギョス、フェリックスという名の3人。「ダービーマッチの勝利は、僕らにとってマイスターシャーレ(リーグ優勝皿)と同じくらいの意味があるものなんだよ。そのくらい大事だ。そのくらい価値があるんだ。だから、今日勝つことができたらとても幸せさ」とハネスがダービーの重みについて語ると、フェリックスは「今日は難しくなるとは思うよ。シャルケは残留争いにまで落ち込んでいる。今日の試合で今季の失敗を取り返そうと躍起になってくるのは間違いない。今日勝てば、シャルケファンの留飲も少しは下がるからね」と、15位に沈む相手を警戒している思いを明かした。でもすぐに、「それでも勝つのは僕らだよ。優勝するためにはここで負けるわけにはいかない!」と付け加えると、イギョスは「もちろんだ。勝たなきゃダメだ」と後ろから同調した。バイエルン・ミュンヘンと熾烈な優勝争いを演じているだけに、相手の現状に同情するつもりなど全くない。

 ダービー観戦は初めてだと話した筆者と、「そうか、全力で楽しんでな!」と握手を交わしてくれた。

 8万196人の観衆が詰めかけたスタジアムは満員だ。2位ドルトムントと15位シャルケの対戦。試合前にスタジアムDJは「この試合の勝利が我々を優勝争いでの大事な一歩に導き、相手を残留争いのドン底に落とし込む!」とアナウンスすると、ドルトムントの本拠地はドッと沸いた。


中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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