「現実主義スタイルが正義」 森保ジャパン、英記者を唸らせた“カラーなき多様性”とは?

森保監督はアジア杯制覇を成し遂げるだけの多くの武器が揃っていると見抜いていた

 現実主義的なアプローチに徹した前半から一転、後半は素早くボールを左右に動かし、パスで動きを創出。いわゆる「アジアのパスマスター」として期待されている姿を見せていた。決勝点となるPKを堂安が獲得した際、遠藤航→原口元気→堂安とつないだ連動した「パス&ゴー」がその正当性を証明しているだろう。長い間行方知れずだった友人を見かけたような感覚だった。

 過去2試合(ウズベキスタン戦、サウジアラビア戦)では、一つのパターンしか持ち合わせないチームだったが、ベトナム戦は違った。日本はむやみに攻め込むよりも、多様性で勝負できると理解している。彼らにはロングボールがあり、セットプレーがあり、そして守備もできる。森保監督は、5度目のアジアカップ制覇を成し遂げるだけの多くの武器が揃っていることを見据えていたのかもしれない。

 準決勝で待ち受けるのはイランであり、森保監督は最も抜け目のないカルロス・ケイロス監督に“知恵比べ”を挑むことになる。このポルトガル人指揮官、そしてハードワークする活気に満ちたストライカー、猛烈に走り回るサイドバックなどを擁したタレント軍団は、今大会の最大の試練となるだろう。

 前進するためには、その才能と多様性を飛躍させなければならない。武藤嘉紀と大迫勇也の復活は必要であり、強固な守備と忍耐強く遮断される狭い中盤のスペースを攻略しなければならない。日本の今後はイラン戦に懸かっている。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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