“アンリ2世”獲得の余波? マンU生え抜きFWがローン移籍へ
期待の若手を放出
マンチェスター・ユナイテッドの下部組織出身FWジェームズ・ウィルソンがイングランド・チャンピオンシップ(英2部相当)のクラブへ期限付き移籍することが濃厚となった。英国営放送「BBC」が報じている。
複数のクラブがウィルソンの獲得に興味を示しているようだが、現在はダービー・カウンティが獲得に最も積極的だという。
19歳のウィルソンは、イングランドU-21代表としても活躍する。2014年5月のハル戦で2ゴールを挙げる鮮烈なデビューを飾り、ユナイテッドで公式戦18試合出場4得点を挙げていた。ロビン・ファン・ペルシー(フェネルバフチェ)やラダメル・ファルカ オ(チェルシー)、ハビエル・エルナンデス(レバークーゼン)が去った現在のチームでは、ウェイン・ルーニーに次ぐセンターフォワードだった。
しかし、ユナイテッドは今夏の移籍マーケット最終日に、ウィルソンと同じ19歳のフランス代表FWアンソニー・マルシアルを獲得。移籍金はボーナスを含めると、総額8000万ユーロ(108億円)に達するともいわれている。元フランス代表FWティエリー・アンリ氏の再来ともいわれる逸材だが、これによってウィルソンの出場機会は減少すると予測されている。
かつてサー・アレックス・ファーガソン元監督が率いた時代にはライアン・ギグス氏(現アシスタントマネジャー)やデイビッド・ベッカム氏、ポール・スコールズ氏、ギャリー&フィルのネビル 兄弟、ニッキー・バット氏など生え抜き選手がチームの根幹を支えてきた。
しかし、レギュラー争いに加わっていたベルギー代表MFアドナン・ヤヌザイもドルトムントへ期限付き移籍し、近年大型補強を敢行している現在のチームにおける生え抜き選手はGKサム・ジョンストンやDFパディ・マクネアなど若手の控え選手に限られている。ファーガソン政権と比べるとチームの色は大きく変化した。
マルシアルへの破格の投資に対し、驚きと共に一部では批判の声も上がっている。ルイス・ファン・ハール監督2年目の新生ユナイテッドは結果を残し、こうした補強策に対する周囲の反応を鎮めることはできるのだろうか。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images