「私のセキュリティーカモン!」 札束乱入男にブラッター氏、顔面蒼白
メンツ丸つぶれ
ワールドカップ招致に関する贈収賄問題により辞任を表明しているFIFAのゼップ・ブラッター会長は、記者会見の席上に紛れ込んだイングランドのコメディアンに米ドル状の札束を投げつけられるハプニングに見舞われた。英衛星放送「スカイ・スポーツ」など世界各国のメディアが報じている。
リー・ネルソンの芸名を持つ38歳のコメディアン、サイモン・ブロードキンはチューリヒのFIFA本部で行われた会見に乱入。「2026年W杯はこの賄賂で北朝鮮開催で!」と大声を発し、分厚い札束を右手に持ちながら記者会見開始直前のブラッター会長の前に登場した。広報担当が「今から 記者会見がスタートします」と連呼。乱入者の“告発”でメンツをつぶす格好になったブラッター氏も、必死の形相で右手を伸ばしたが、ネルソンの演説は止まらず。
「私のセキュリティー、カモン!」
ブラッター会長が警護係を呼びつけると、ネルソンは疑惑の核心に札束を投げつける。札束は顔面蒼白となったブラッター会長の周囲を舞い散った。
元医者の肩書を持つネルソンの乱入芸は、イングランドでも有名だという。昨夏のブラジルワールドカップで失意の帰国となったイングランド代表がルートン空港に到着すると、全く同じスーツとネクタイ姿と乱入を試み、拘束された。数週間前にはラップスター、カニエ・ウェストのライブに乱入し、カニエをがくぜんとさせていた。
「おまえはカネまみれ」というスイス人に対するイングランドらしいブラックジョークに、会見場からはまばらながら拍手も起きた。記者会見は札束を片付けるためにスタートが10分間遅れたというが、次期会長選は来年2月まで行われない。スキャンダルまみれのFIFAの掃除にはまだまだ時間がかかりそうだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images