選手権得点王の鳴海に宿った「これ、入っちゃうな」の感覚 神懸った冷静さが6ゴールを導く

「ボールが来たら勝手に体が落ち着いていた」

「ゴール前で、今大会はいつもだったら緊張したり焦るところで、なんか『これ、入っちゃうな』って。落ち着きすぎるくらい落ち着いていました。去年は本当に外しまくっていたので、そこからは成長できたと思う。自分のところにボールが来たら、勝手に体が落ち着いていた。最後の大会だからですかね」

 自分でも説明のしようがない感覚のなかでプレーし、シュートを次々に決めた。ある意味で“ゾーン”に入っていたのだろうか。この日の胸トラップから決めた鮮やかなシュートも、1対1を冷静に決めたゴールも、シュートを打つ前に「これ、入っちゃうな」と思ったのだという。

 青森山田の選手権初制覇は、5試合6得点をマークした鳴海のゴールラッシュが大きな勝因となった。そのストライカーによる“神通力”は、20年連続22回目の出場となった名門を、悲願の頂点へと導いた。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

 

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