ハリルJが見せた“2つの顔” ボール保持率「20%ダウン」が招いたサウジ戦後半の失速

予選の行方を占う大一番で本田、香川、岡崎が揃って先発落ち

 2016年11月15日、埼玉スタジアムで今年最後となる代表戦、ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第5節のサウジアラビア戦が行われた。初戦のUAE戦で躓いた日本代表にとっては、毎試合「絶対に負けられない」試合が続いている。この日、グループB首位相手の一戦に向けてバヒド・ハリルホジッチ監督が選んだのは、FW本田圭佑(ACミラン)、MF香川真司(ドルトムント)、FW岡崎慎司(レスター)という長年にわたって日本代表の“顔”だった3選手を、揃ってスターティングメンバ―から外すという荒療治だった。

 結果的にハリルホジッチ監督のこの采配は、2-1というスコアを導いたことを考えれば当たったことになる。最終予選5試合で3勝目を挙げ、グループBの2位に浮上。来年3月の次節UAE戦までしばし緊張から解き放たれることになるが、新たな試みが行われたこの試合で起きたことをしっかりと振り返らなければ、チームとしての成長は見込めない。ハリルジャパンにとって大きなターニングポイントになり得るサウジアラビア戦で起きていたことを、データから振り返ってみたい。

 サウジアラビア戦の4日前に行われたオマーンとの親善試合に、日本は4-0で圧勝した。この2試合をデータで見た時、大きく異なるのがポゼッション率だった。その試合では日本代表の65%に対しオマーン代表は35%。これまでのようにゴールに近づけないことが理由で持たされているのではなく、引いた相手を崩すためにボールを動かした結果だった。それに対してこの日の試合は、日本の44%に対しサウジアラビアの56%と10%以上も相手に持たれる時間が増えていた。さらにパスの本数も200本以上減り、成功率も5%落ちていた。

 W杯の出場権を懸けた試合と親善試合では試合への取り組み方が違うと言えばそれまでだが、それでも結果と別に何をしようとしていて、何ができたかという面は否応なしにデータに表れてしまう。これまで日本代表をアジアトップレベルまで引き上げた功労者だった本田、香川、岡崎が出場しなかった前半と、出場時間こそ異なるものの彼らがピッチに立った後半を分けて分析してみる。

 

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