野茂氏女房役がパルマ買収交渉から撤退 来季セリエD降格へ

中田英寿氏も活躍した強豪がアマチュアクラブから再出発

 かつてMLBニューヨーク・メッツなどで活躍した名捕手マイク・ピアザ氏が、破産宣告してセリエBへと降格したパルマ買収交渉からの撤退を表明。唯一残されていた買収希望者がいなくなり、パルマは負債返済の目処が立たず、リーグ登録に間に合わず。来季アマチュアセリエDから再出発することになった。

 ドジャーズ時代に野茂英雄氏の女房役を務めた強打者は、2007年にMLBアスレチックスで現役を引退。父親の祖父がイタリア移民で、2006年のワールド・ベースボール・クラシックにはイタリア代表として出場している。09年と13年大会にはイタリア代表のコーチに就任。イタリアでの野球活動の普及に尽力するなど、第二の故郷で活躍の場を広げてきた。そんなピアザ氏はイタリアで野球も盛んなことで有名な都市、パルマを本拠地とする強豪の経営再建に立候補していた。だが、状況は急転した。

 「大いなる悲しみと後悔とともに、私はFCパルマの買収交渉を断念することを発表せざるを得ない。この決定に関するパルマファンの苦々しさを理解し、共感します。クラブの基礎が甚大な損害を受けている状況で、現在と将来的な安定性をもたらす投資はできないと、この計画の共同投資家とともに判断した」

 ピアザ氏は買収交渉撤退の表明を発表することになった。すでにピアザ氏と唯一競合していたジュゼッペ・コッラード氏の投資家グループ「マジコ・パルマ」も正式に撤退を表明する声明文を発表したばかりで、パルマの経営再建者を希望する人間は現時点でゼロとなった。

 コッラード氏は、すでに破産宣告を受けているパルマの裏に隠された数々の負債の存在を明らかにしていた。前会長のジャンピエトロ・マネンティ容疑者は業務上横領、マネーロンダリング(資金洗浄)などの罪により、司法当局に逮捕されている。パルマの経営には様々な問題が存在した可能性が高い。

 税金滞納、選手、スタッフへの給料未払いと多くの問題を抱える。破産宣告したパルマは、2260万ユーロ(約31億円)の負債を支払うオーナーが現れなければ、来季セリエBに登録することもできない。だが、最後の望みであるピアザ氏が撤退を表明した。

 クラブ側は公式サイトで、クラブ買収交渉が破談になっている現状を報告し、行政側の管財人と破産手続きを進める方針を明らかにした。
 
 かつて中田英寿氏も所属し、ヨーロッパのカップタイトルを手にするなど大きく席巻した強豪は来季、アマチュアリーグであるセリエDで再出発を目指すことになりそうだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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