36分間で19本のスプリント 広島の浅野が見せる進化の過程

「自分の特長を出すことは最低限の仕事。もっと成長したい」

「ベンチから試合を見ながら、自分に何ができるかをずっと考えていた。ボールを持てずに押し込まれている展開の中で、自分の特徴を生かせば流れを変えられると信じていた」

 浅野がこう振り返るように、自分の特長であるスピードと運動量をいかんなく発揮。それはデータにも表れており、この日、記録したスプリント回数は19本。両チームで最多の本数を、わずか36分の出場で記録したのだ。

 浅野は試合後、「自分に与えられた役割を果たすことが重要。自分の特長はしっかりと出せてきているし、それがチームの勝利という結果につながったことはうれしい」と、自身に一定の評価をしながらも、「このまま途中出場ばかりでいいとは思っていない。スタメンを目指したい」と飽くなき向上心をのぞかせていた。

「自分の特長を出すことは、最低限のやるべき仕事。それ以外の部分、例えば、ボールを失う回数、ボールを受けた時の判断の早さやクオリティーの低さといった課題を改善しないとスタメンにはなれない」。リオ五輪のエースストライカー候補でもある浅野はそう話し、さらなる成長を渇望する。

「若い選手が成長して年上の選手を刺激しないと、チームとして成長しない」

 その言葉通り、この若武者が広島でスタメンに定着するまでに進化した時、広島の2季ぶりの戴冠が見えてくるだろう。と同時に、その先には20歳の新鋭が日の丸の舞台で躍進を遂げる日が訪れるかもしれない。

【了】

野口学●文 text by Manabu Noguchi

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