J2の上位争いが「最大の山場」 仙台、新潟、富山、大宮…過密日程で正念場、昇格戦線の行方は?

J2の昇格争いは前半戦の山場を迎える【写真:徳原隆元&アフロ】
J2の昇格争いは前半戦の山場を迎える【写真:徳原隆元&アフロ】

J2の昇格戦線を引っ張る仙台が新潟、大宮、富山との上位3連戦へ

 2026-27シーズンのJ2リーグは、10月21日に第12節が一斉に行われ、首位のベガルタ仙台がFC今治に3-1で逆転勝利して勝点を27に伸ばした。2位のアルビレックス新潟とは4ポイント差、3位に浮上して勢いに乗るカターレ富山とは5ポイント差をつけている。まだシーズンの3分の1にも満たない段階ながら、J2優勝、そして2位以内に与えられるJ1自動昇格に向けて、上々のスタートを切ったと言えるだろう。

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 森山佳郎監督は2024年、前年16位だった仙台を率いて6位に躍進させ、J1昇格プレーオフ決勝まで導いたが、ファジアーノ岡山に敗れて昇格を逃した。翌25年も終盤まで昇格争いを演じながら、最終節で7位に転落し、プレーオフ進出を逃す悔しさを味わった。

 2026年の百年構想リーグでは基本システムを3-1-4-2へ変更して攻撃力を高め、J2・J3の40チームによる大会で優勝を果たした。こうした成功と失敗を重ねながらチームを成熟させてきたことは、森山体制の仙台にとって大きな強みだ。百年構想リーグから船越優蔵監督が指揮を執る新潟などと比べても、継続して積み重ねてきた戦術の浸透度や選手間の連係はアドバンテージになっている。

 仙台は3-4-2-1をベースに、組織的な守備でボールを奪い、ボランチの武田英寿を軸に中盤の支配力を高めることができる。攻撃では、ここまで5得点を挙げている梅木翼をターゲットマンとしながら、中島元彦、岩渕弘人、浅倉廉といった独力で局面を打開できる選手たちが持ち味を発揮。前線にボールを収めるだけでなく、2列目の選手が積極的に攻撃へ関わることで、相手の守備を崩す選択肢を増やしている。

 その攻撃の多様性に加え、試合中の修正力が表れたのが今治戦だった。中3日という日程もあり、仙台は前節の徳島ヴォルティス戦から先発を3人変更したが、開始1分も経たないうちに梶浦勇輝に先制ゴールを許す苦しい立ち上がりとなった。その後は仙台が攻勢を強め、サイドからのクロスや速攻でチャンスを作ったものの、前半は今治の守備を崩し切れなかった。

 流れを変えたのが、後半開始から投入された武田と奥山政幸だった。中盤の守備強度が高まり、セカンドボールの回収でも優位に立つと、後半3分に武田の左足からのFKを中島が合わせて同点。さらに同7分には中島の左サイドからのクロスを梅木が頭で決め、短時間で逆転に成功した。同29分には中島のスルーパスに抜け出した途中出場の宮崎鴻が3点目を奪い、勝負を決めた。

 立ち上がりの失点は反省材料だが、後半の選手交代と戦術的な修正によって流れを引き寄せたことは、仙台の強さを示している。武田と奥山の投入によって中盤のバランスが改善され、良い守備から攻撃へとつなげる本来の形を取り戻した。さらに中島が3得点すべてに関わり、宮崎も相手の背後への抜け出しから結果を残したように、個々の特徴を生かして得点につなげられることも大きい。

 空中戦に強い宮崎を前線のターゲットとして起用するだけでなく、ドリブラーの相良竜之介をサイドに送り込むことで、個人の突破力を生かした攻撃も可能になる。左利きの武田に加え、高精度の右足を誇る鎌田大夢という良質なキッカーを擁し、セットプレーも得点源にできる。組織的な攻守を土台としながら、選手の組み合わせや試合展開に応じて攻撃の形を変えられる点は、過密日程を戦い抜くうえでも重要な武器となるだろう。

■仙台以外の上位クラブも正念場を迎える

 ただし、ここからは首位を走る仙台にとっても大きな試練となる。10月25日のアウェー・新潟戦に続き、31日にホームで5位のRB大宮アルディージャ、11月3日にはアウェーで3位の富山と対戦する。10日間で昇格争いの直接的なライバルと3試合を戦うことになり、いずれも勝点差を広げることも縮められることもある。いわゆる「6ポインター」だ。

 最初に対戦する新潟は、前節の大分トリニータ戦で大敗を喫したものの、第12節ではサガン鳥栖を2-1で下し、立て直しに成功した。ボールを保持する鳥栖に対して守備のバランスを維持し、奪ってから素早く攻撃につなげる戦い方を見せた。白井永地のサイドチェンジを起点にマテウス・モラエスが先制点を奪い、後半には途中出場の桑山侃士が追加点。終盤に1点を返されながらも逃げ切り、ホームでの連勝を6に伸ばした。仙台にとっては、ボールを保持できる時間帯でも新潟の速攻を警戒し、攻守のバランスを保つことが重要になる。

 一方、大宮は第12節で富山に0-3で敗れ、連敗となった。ただし、スコアほど一方的な内容ではなかった。前半は積極的なハイプレスとポジショナルプレーで富山を押し込み、山本桜大を中心に多くのチャンスを作り出した。高校3年生の小林柚希、木寺優直らも右サイドから攻撃を活性化させたが、決定機を生かせなかったことが響いた。後半は攻撃的な選手交代で勝負に出たものの、背後のスペースを突かれて立て続けに失点した。結果として連敗を喫したものの、前線からの圧力と中盤の質は高く、仙台にとっても簡単な相手ではない。

 その大宮を破った富山は、無敗記録を8試合に伸ばし、3位に浮上した。安達亮監督は攻撃的なスタイルを掲げるが、大宮戦では前半に主導権を握られながらも、後半は相手のサイドバックの背後をシンプルに狙う形へ修正。途中出場の小川慶治朗のクロスから坪井清志郎が先制点を奪い、直後には布施谷翔が追加点を決めた。終盤にも國武勇斗が得点し、3-0で快勝した。多彩なパスワークをベースとしながら、試合の状況に応じて戦い方を変えられる柔軟性と、チャンスを得点につなげる決定力は、仙台にとっても警戒すべき要素だ。

 注目したいのは、こうした上位対決が仙台だけに集中しているわけではないことだ。2位の新潟も仙台戦の直後に富山との対戦を控えている。3位の富山は、次節で現在14位の北海道コンサドーレ札幌と対戦した後、新潟、仙台との連戦が待っている。さらに5位の大宮も、次節は4位の横浜FC、その次は仙台との対戦となる。まだ前半戦ではあるものの、上位チーム同士が勝点を奪い合うことで、昇格戦線の情勢が大きく変わり得る3節であることは間違いない。もちろん、現在は中位にいるチームも、この間に勝点を大きく伸ばせば、上位進出もあり得る。

 仙台が3連戦で勝点を積み重ねられれば、ライバルとの差をさらに広げることができる一方、追いかけるチームにとっても直接対決を制することで一気に差を詰めるチャンスとなる。第12節終了時点では仙台が一歩抜け出しているものの、まだ昇格争いの行方を決定づけられる状況ではない。特に仙台は、新潟、大宮、富山と特徴の異なる相手に対し、持ち前の組織力を発揮しながら、試合の展開に応じて戦い方を変えていくことが求められる。

 今治戦では後半の修正によって逆転勝利を収めたが、上位勢との対戦では同じように立ち上がりから主導権を握られると、簡単には挽回できない可能性もある。武田を中心とした中盤の構成力を生かし、梅木や2列目の選手たちが攻撃の決め手となれるか。さらに過密日程のなかで選手を入れ替えながらも、攻守の強度と連動性を維持できるかも重要になる。

 仙台が上位勢との直接対決でどこまで強さを発揮できるのか。首位の座を確かなものにするための3連戦であり、追いかけるチームにとっては勢力図を塗り替える機会となる。J2の昇格戦線は、ここから前半戦の大きな山場を迎える。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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