「100%の若手より70%の中心選手」 “強豪浦和”の陰にあったレギュラー固定化の弊害

才能豊かな若手が伸び悩み流出

 特に最初の数年間は効果の大きさが顕著だった。就任前年の2011年に残留争いをするところまで落ち込んでいたチームは、初年度からリーグ3位に躍進し、翌年にはヤマザキナビスコカップ決勝まで進んだ。競争による危機感とはまた違う、チームの中心選手として信頼され、一度や二度のミスではポジションを失わない状況は、コンセプトに不可欠なプレー面でのリスクを負う決断をしやすくした。

 しかし、それと同時に失っていった、あるいはロスしていったことも少なからずあった。それが、若手選手たちの出場機会減少とチーム内競争の乏しさだった。

 浦和にはペトロヴィッチ監督の就任時点で、DF高橋峻希(現ヴィッセル神戸)やMF山田直輝(現湘南ベルマーレ)などの下部組織出身選手や、浦和に高卒で加入したMF小島秀仁(現愛媛FC)といった将来を嘱望される才能豊かな若手が揃っていた。しかし、レギュラーとサブの序列がハッキリとされるなかで彼らは出場機会を得られず、コンディションを落として練習でのパフォーマンスも低下。それが試合への出場をさらに遠ざけるという悪循環を生んでしまう。結果として、表面上のレギュラーを支え、それに代わっていく人材の育成という意味で、浦和は犠牲を払うことになった。

 近年、中心メンバーの固定化がデメリットとして浮き彫りになった象徴と言えるのが、出場機会の少ない選手たちが自分たちのことを、当たり前のように「サブ組」と表現するようになったことだろう。

 

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