変貌したFC東京、2019年に次ぐ好成績 衝撃の“10試合連続”…指揮官が強調した「誰が出ても」

FC東京が10節終了時点で2位につける
FC東京は10月17日、J1リーグ第10節で東京ヴェルディと対戦し、4-0で勝利した。今季1戦目の東京ダービーで完勝。失意に終わった2025年シーズンから、百年構想リーグを経て、チームの変貌を見せつけた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真)
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味の素スタジアムが“青赤”であることを示した。前半18分にFW染野唯月がDF稲村隼翔への危険プレーで一発退場になると、前半41分にMF俵積田晃太の左コーナーキックからDFアレクサンダー・ショルツが頭で合わせて先制に成功。後半には、FWマルセロ・ヒアン、FW長倉幹樹、FWダニ・ゴメスが決めた。直近5試合連続のクリーンシートで締め、決めるべく選手が決めて勝ち点3を積み上げた。
今季のFC東京は開幕戦こそ退場者を出してしまい、FC町田ゼルビアに1-5で敗れたものの、第2節のヴィッセル神戸戦から9試合で20得点3失点の7勝2分。昨季は11試合だったクリーンシート数はすでに7試合で、J1唯一の数字が堅守を示す。
ゴール量産と堅守の理由は、先制ゴールが全10試合全てで取れていることにある。自分たち主導で試合を進めることができていることが好調の要因につながっている。クラブとして10試合終了時点での勝ち点23は、2位で終えた2019年に次ぐ好成績になった。
数字で見ると、昨季は50.9%だった平均ボール支配率はリーグ4位の54.7%。1試合あたりの平均走行距離はリーグ13位の113kmだが、平均スプリント数はリーグ2位の137回。ポゼッションに加え、迫力のあるカウンターや、要所での強度の高さが数字にも表れている。
被ゴール期待値はサンフレッチェ広島の7.4に次ぐ8.9で、1試合平均被シュート数でも広島の7.8に次ぐ9.1となっており、FC東京と広島の堅守ぶりは数字から裏付けされたものであると言える。
DF橋本健人、DF長友佑都、DF室屋成、MF橋本拳人、MF本間至恩、MFニコラス・ヴァリスら主力級の選手が負傷などで離脱したが、既存戦力でのカバーに成功。センターバックのDFアレクサンダー・ショルツとDF稲村隼翔はサイドバック陣が入れ替わる中でも圧倒的なパフォーマンスでチームの最後尾を支え、攻撃の配球面でも重要な役割を担う。左右のSBをこなす新戦力のDF石原広教もチームに溶け込んだ。DF大森理生、DF鈴木楓、MF常盤亨太、MF永野修都らユース生え抜きの選手たちが戦力として台頭したことも、チームを突き上げるきっかけになった。
攻撃面では、ポルトガル2部FCペナフィエルへの期限付き移籍から復帰したMF安斎颯馬の復帰がチームに好影響を与える。左右のサイドハーフに加え、サイドバックでのプレーも可能。安斎はすでに4ゴールを決め、10番のMF佐藤恵允、MF俵積田晃太、MF山田楓喜、FW仲川輝人、本間ら全員が今季の公式戦でゴールネットを揺らした。前線でのポジション争いが激しいことも好調の要因の一つに挙げられる。
ベテラン、中堅、若手と選手層のバランスも良く、松橋力蔵監督も「誰が出ても問題ない」とチームに太鼓判を押す機会も増えた。実際に松橋監督がアルビレックス新潟でJ2リーグ優勝を決めたシーズンも、主力の移籍や、負傷離脱を補う選手マネージメントが大きく影響していた。
開幕節の町田戦では、数的不利になったところから5バックに変更して受け身になって5失点を食らった。第8節の名古屋グランパス戦でも1点リードの展開でMF高宇洋が退場になったが、松橋監督は同じ轍を踏まなかった。選択は4バックの継続。前から押し出すような守備で数的不利の時間をしのぎきった。
第2節のヴィッセル神戸戦、第5節の清水エスパルス戦では自分たちのミスから失点を喫し、勝ち点を落とす試合展開になった。特に最終ラインの選手たちはメリハリを意識。ボールをつなぐところ、蹴り出すところの判断も改善し、全体的なエラー数が減った。
選手たちからも自信の声が聞こえる。直近2試合で腕章を巻くDF稲村隼翔は「本当に失点しなければ勝てるっていう自信が今、チームにある」と守備面に手応え。10試合で7ゴール3アシストのエースFW長倉幹樹は「チームの勝利が自分にも返ってきてる」と好調の要因を分析する。選手それぞれが自信を持ちながら、サッカーに取り組めている現状がある。
それでも、選手や監督からは現状に満足することなく「まだまだ」「もっと」という言葉が必ず返ってくる。松橋監督はダービー後の会見で守備面を評価しながらも「ただ、ここで満足することなく」と切り出した。「たった1回かもしれないけれども、そのたった1回を許さないというところは、これまで同様に続けていかなくてはいけません」。稲村も「まだまだかな」と満足する姿はない。
不本意に終わった2025シーズンに比べると、東地区2位で終えた百年構想リーグから、小平練習場で取り組む日々のトレーニングでもポジティブな声掛けが多く、「強いチーム」の雰囲気も漂いつつある。練習見学に訪れるサポーターの熱量も高く、クラブ一体で前に進んでいる。
次節は勝ち点差2の柏レイソルとの大一番を迎える。2025シーズンの成績は1分1敗で、借りを返す番。序盤戦のターニングポイントとも位置づけできる一戦を制し、リーグ制覇に向かっていく。
(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)























