森保Jの“最新序列”「若手の台頭はなかった」 11月のメンバー選考…優先は完成度か未来か「180度変わる」

日本代表の出場データに表れた意図【写真:徳原隆元】
日本代表の出場データに表れた意図【写真:徳原隆元】

9月・10月シリーズの出場データを検証

 日本代表の9月・10月に行われた全4試合の活動が終了した。今回のシリーズにおける各選手の出場データを紐解くと、現在の森保一監督の選手起用に対する明確な意図と、チーム内の序列が見えてくる。

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 まず目を引くのは、これまで代表での出場経験が少なかったものの、今回の4連戦で指揮官の期待が寄せられた選手たちだ。筆頭はDF鈴木淳之介だろう。9月以前の出場はわずか8回だったが、今回は全4試合に出場して218分間ピッチに立った。また、代表キャップ0だったMF中野就斗(2試合・135分)や、出場7回だったMF鈴木唯人(2試合・144分)らも一定の出場時間を与えられている。

 ただし、活躍を評価して出場時間が延びた、というのではないだろう。もしも信頼を勝ち得ているのなら、「前半を経験の少ない選手の力量を測り、後半は経験のある選手で勝利を掴みにいく」という今回の起用において、後半からの投入ばかりになったはずだ。それでも森保監督が成長を待望しているのは間違いない。

 一方で、現在の森保ジャパンにおける「絶対的な信頼」を寄せられている主力層の厚さも改めて浮き彫りになった。DF陣では全4試合で341分に出場した瀬古歩夢や伊藤洋輝(289分)、MF/FW陣では堂安律(236分)、中村敬斗(207分)、久保建英(203分)、上田綺世(195分)、鎌田大地(191分)といった面々が軒並み200分前後の出場時間を記録している。彼らが現在のチームの骨格であることはデータからも明らかだ。

 対照的に、せっかくの招集を受けながらもチャンスを掴みきれなかった選手たちもいる。指揮官は初選出や経験の浅い選手を多数スカッドに組み込んだものの、塩貝健人(3試合出場も計23分)の起用法などを見ても分かる通り、彼らに与えられたのはごく限られた時間だった。総じて、森保監督の「経験の少ない選手のお試し起用」は限定的であり、あくまで既存の戦力を軸に試合を組み立てていたことがうかがえる。

 この9・10月のデータが示している最も重要な事実は、「新戦力や若手の決定的な台頭はなかった」ということだ。たしかに数名の若手はピッチに立ったが、堂安や久保、上田ら既存の主力メンバーの牙城を脅かすほどの強烈なインパクトを残し、序列を覆すには至っていない。

 この現状を踏まえると、来年1月に控えるアジアカップで優勝を果たすためには、今後のチーム作りの舵取りが極めて重要になる。

 アジアカップのタイトルを本気で獲りにいくのであれば、もはや悠長にテストを繰り返している時間はない。11月に予定されているブラジル戦、パラグアイ戦という強豪との連戦では、ワールドカップを経験したメンバーを中心とした「ベストメンバー」を重点的に起用すべきだ。若手発掘のフェーズは一旦区切りをつけ、現有戦力の連係強化とチームの完成度を極限まで高めることに心血を注がなければ、アジアの頂点には立てない。

 ただし、これはあくまで「1月にアジアカップが開催される場合」の話だ。現在、同大会は延期の可能性も取り沙汰されている。もし延期が決定し、短期的な結果を求める必要がなくなるのであれば、日本代表の取るべきアプローチは180度変わる。

 その場合は、すぐにでも次回のワールドカップなど「将来」を見据えたチーム作りにシフトしなければならない。今回出場時間が少なかった若手や、まだ見ぬ逸材を積極的にスタメンで起用し、大胆な世代交代と底上げを図るべきである。

 目の前のタイトル奪取に向けて完成度を求めるのか、それとも未来への投資に舵を切るのか。中東情勢を睨みつつ、11月のブラジル戦、パラグアイ戦のピッチに立つ11人は、日本代表の今後のロードマップを如実に示すことになるはずだ。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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