42分1Gペースの日本人は「心の余裕が出ている」 ”9戦8発”も…代表OBが懸念する「難しさ」

柏レイソルの瀬川祐輔【写真:徳原隆元】
柏レイソルの瀬川祐輔【写真:徳原隆元】

【専門家の目|太田宏介】瀬川祐輔が神戸戦で今季8点目をマーク

 柏レイソルのMF瀬川祐輔は10月9日、J1リーグ第9節ヴィッセル神戸戦でダメ押しとなる1点を決め4-2の勝利に貢献した。今シーズン、限られた出場時間でありながら早くもこれで8ゴール目。驚異的な活躍を見せる男の好調の要因は何か。日本代表OBの太田宏介氏が見解を語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 今のJ1で最も乗りに乗っている男がこの日も躍動した。瀬川が魅せたのは出場してから13分後の後半39分。アタッキングサード左でクリアボールを回収すると、チェックに来た神戸MF井手口陽介を股抜きでかわし、ファーサイドへコントロールショットを放つ。GK前川黛也が反応するも外に弾ききれず、ボールはネットを揺らした。

 瀬川は今季ここまでの試合すべてで途中出場し、プレー時間は334分ながらもJ1得点ランキングで日本人トップの8ゴール。約42分に1点という驚愕の得点ペースを見せている。自身のキャリアハイにはあと1点に迫った。

 この活躍は、ただ乗りに乗っているだけだからではないはずだ。そもそも、途中出場というシチュエーション自体に特有の難しさがつきまとう。太田氏は現役時代の経験を踏まえ、次のように説明する。

「まず、誰もが点を取って活躍し目立ちたいという欲を持つなかで、ベンチスタートを受け入れるということが凄く難しい。加えて、いくらウォーミングアップをしても、途中から入ると1回スプリントしただけで息が上がり、乳酸も溜まるなど、大きな負荷がかかります」

 そのうえで、途中出場を継続しながらも得点量産できる要因を心身両面でこう推察する。

「チーム内で一番点を取っているのにベンチスタートという難しい状況に置かれているにもかかわらず、不満を一切外に出さないのがすごいですよね。30歳を過ぎたことで、どんな状況も受け入れられる心の余裕が出ているのかもしれません。

 また、どの試合でもスムーズに入れているのを見ると、そこへの持って行き方にも驚きかされます。普段の練習からものすごく準備しているのは間違いなく、途中出場でも試合に上手く入るための方法論を確立しているのでしょう。それだけではなく、ベンチから相手のウィークポイントや試合の流れ、自分が入ってから何をしなければいけないかということを分析しているはずで、すごくインテリジェンスが高い選手なんじゃないかと。

 最短で結果を出すための準備をしつつ、“今求められているプレー”を考える力が現在の結果につながっていると思いますね」

 とはいえ、瀬川の今後の活躍に懸念点がないわけではない。

「監督としてはこれからもジョーカーとしての役割と任せていくと思うんですけど、マネジメントの苦労が出てくるでしょうし、瀬川選手としてもコンディションだけでなくエゴと犠牲心の折り合いをつけるメンタルの維持の難しさが出てくるかもしれません」

 首位を走るチームのスペシャルなジョーカーとして、これからも得点を量産し続けられるか。瀬川の活躍から目が離せない。

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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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