まさかの戦術変更も「これまで以上に堅実」 英記者が指揮官の采配分析…復活に「エネルギー取り戻した」

ニュージーランド代表に勝利した森保ジャパン【写真:徳原隆元】
ニュージーランド代表に勝利した森保ジャパン【写真:徳原隆元】

ニュージーランド戦をマイケル・チャーチ氏が総括

 森保一監督率いる日本代表は10月5日、東京・国立競技場で行われたキリンカップ2026決勝でニュージーランド代表に2-1で勝ち、優勝を飾った。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏が、この試合を総括した。

 日本代表がベストパフォーマンスを9月・10月シリーズの最後の試合に残していたのはある意味でふさわしいことなのかもしれない。森保監督が日本代表の監督して迎えた国内最後の試合で、彼のチームはようやく“らしさ”を取り戻したように感じた。

 森保監督が戦術を変更し、久しぶりに4バックを採用して試合に臨んだにもかかわらず、そのような結果になったのはやや意外だった。これまでは運動量豊富なウイングバックを配置する3バックで戦うことが多かったが、それは必ずしも選手たちの長所を最大限に引き出しているわけではなかった。

 この試合、日本は試合の大半の部分でこれまで以上に堅実で、落ち着きがあった。要するにこれまでよりも良い内容で戦っているように見えた。

 中でも、攻守にわたってサイドを上下動する負担から解放された堂安律は最初の15分からコンスタントに相手の脅威となっていた。中央へ切り込んでボールを受け、日本で最も危険な存在だった。

 森保監督がすでに見切りをつけたかに思われたフォーメーションを再び採用したということは、今後もこの形を使うことを視野に入れている可能性を示唆している。アジアカップ優勝という最高の形で任期を終えるための策なのかもしれない。

 サムライブルーはこの今シリーズをポジティブな形で締めくくったと言えるだろう。先の3試合については勝利こそしたが、いずれも内容的には説得力を欠いた物足りないものだった。

 しかし、ニュージーランド戦の日本はこの2週間欠けていたエネルギーや決意を取り戻したように感じた。

 堂安はキックオフから1分以内で先制ゴールまであと一歩のところに迫り、その後も久保建英との連係でオールホワイツの守備陣を再び脅かした。

 日本の最大の脅威は右サイドから生まれていた。前回の出場では本来の良さを発揮できていなかった中野就斗も周囲の勢いに合わせて、サイドバックの位置からサイドを頻繁に上下動して存在感を示した。

 もっとも、日本も完璧だったわけではない。同点ゴールを献上した前田大然のミスは試合に一つの傷を残した。国際舞台では集中力が途切れた時に生まれるたった一つのミスが命取りになるということを示す場面となった。

 それでも、常に運動量豊富な佐野海舟と鎌田大地が強固な土台を築き上げていたこともあり、日本は試合の大半を優位に進めていた。久保の創造性も常に相手の脅威となっていた。

 上田綺世は、上田綺世らしい仕事をした。静かに息を潜めていたと思えば、突如として現れ、豪快なシュートで先制点を決めた。中野のクロスがゴールの起点となった。

 後半は多くの選手交代が行われ、試合はまとまりを欠いていたようにも感じられるが、中村敬斗の投入は大きな意味を持っていた。フランスでプレーするウインガーはそのスピードとタッチでニュージーランドの守備をこじ開けた。折り返しのパスから堂安が悠々とフィニッシュを飾った。

 こうして、日本と森保監督の代表活動は一区切りを迎えた。16年ぶりのアジアカップ制覇を目指すまでに残されたのはあと2試合。11月の代表活動期間は本番に向けた最後の調整機会になるだろう。

(マイケル・チャーチ/Michael Church)



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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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