収穫の乏しい劇的勝利「得られたものは多くない」 英記者指摘…辛勝で見せた「意外なほどの熱量」

ベネズエラ戦をマイケル・チャーチ氏が総括
森保一監督率いる日本代表は9月28日、エディオンピースウイング広島でベネズエラ代表と対戦し、2-1で劇的な勝利を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏が、この試合を総括した。
◇ ◇ ◇
またしても試合終盤の劇的な展開による勝利だった。このインターナショナルウィークは上田綺世の独擅場となりつつある。
もっとも、日本がこの試合から得られたものは多くないだろう。試合が盛り上がるような場面は限られ、見どころは少なく、胸が高鳴るような瞬間もほとんどなかった。
森保一監督は、途中出場の上田と伊東純也の活躍で勝利したウルグアイ戦から多くの選手を入れ替え、5人の選手をデビューさせた。この決断は、普段よりも長いこの代表ウィークがテストの場に過ぎないという印象をさらに強めた。
1月にアジアカップが控えている。その大会を最後に退任する森保監督は最後の栄光をつかむために、あらゆる選択肢を一通り試している最中だ。
もちろん、それは理にかなっている。失意を味わったワールドカップ(W杯)の余韻がまだ残るなかで、サムライブルーが自信を再び取り戻し、2011年以来のアジア王者に返り咲くためには何かのきっかけを見つける必要がある。
しかし、ベネズエラ戦、そしてその前のウルグアイ戦も、何か重要な材料を得られる可能性は低かったと言わざるを得ない。この試合は、小久保玲央ブライアンや齋藤俊輔といった選手たちに、プレッシャーのかからない状況でデビューの機会を与えるためだけの試合だった。いわば、練習試合のようなものだった。
実際、前半の45分は見どころが特にないまま試合は進んだ。特に最初の40分は見ている人が集中力を保ち続けるのも難しかった。
試合は前半の終盤に動きを見せ、日本は幸運にも同点のままハーフタイムを迎えることができた。小久保は前半終了間際に見事なセーブを見せ、鈴木彩艶と交代していった。
前半終了の時点で優勢だったのはベネズエラの方で、その勢いを後半に持ち込んで先制点を奪った。後半開始1分も経たないうちにケビン・ケルシーが決めたゴールに対し、途中出場の鈴木にできることはほとんど何もなかった。
日本がすぐに反撃に転じたことは評価に値するだろう。同点ゴールが伊東と上田のコンビネーションから生まれたという事実は全てを物語っている。この経験豊富な2人が投入される前と後で、クオリティーの違いは明白だった。
少なくとも、しばらくの間は日本に勢いがあったが、それも次第に失われていった。そして、相手のPKがVARで取り消され、反対に久保建英へのPKが与えられていなければ、そのまま試合に敗れてもおかしくない展開だった。
上田は当然のように与えられたPKを成功させた。すると、日本の選手たちはこの重要度の低い試合にしては意外なほどの熱量でこれを祝福した。
これが今の日本を取り巻く状況なのだろう。W杯の決勝トーナメントでブラジルに敗れても多くの人は満足できるパフォーマンスだと考え、その一方で特に意味のない親善試合で低調なベネズエラに運良く勝っただけで選手は飛び跳ねて喜ぶのだ。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)

マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

















