森保J、シャドーの最適解は? 日本の重要な得点源…鈴木唯人に期待する「ポスト南野」の役割

ウルグアイ戦ではさまざまな組み合わせが試された
2027年アジアカップ(サウジアラビア)優勝に挑む第3次森保ジャパンの初陣となった24日のウルグアイ戦(宮城)。ご存じの通り、初キャップの松木玖生(サウサンプトン)、代表4戦目の塩貝健人(ヴォルフスブルク)、絶対的エースFW上田綺世(リール)の3ゴールで、3-1の白星発進を飾ることができた。
前半30分以降のボールロストの頻発と守備の混乱による失点、主力を起用しながらなかなか追加点を奪えなかった後半の戦い方など、いくつか課題も散見されたが、松木や佐野航大(PSV)らキャップ数の少ない選手、2026年北中米W杯で思うように出番を得られなかった鈴木唯人(フライブルク)、塩貝といった面々が特性を発揮。若い世代の台頭を感じさせたことは、「路線継続」と「底上げ」を目論む森保一監督にとって、前向きな材料だったと言っていい。
この一戦を踏まえて、1つ着目したいのが、シャドーの組み合わせだ。というのも、これまでの森保ジャパンは2列目アタッカー陣が重要な得点源になっていたからだ。2026年W杯アジア最終予選を振り返ると、鎌田大地(クリスタルパレス)が4点、南野拓実(モナコ)と久保建英(レアル・ソシエダ)がそれぞれ3点ずつを叩き出していて、シャドー3枚看板が大きな役割を担っていた。
2026年W杯本番でも、チュニジア戦(モンテレイ)でゴールした鎌田、伊東純也(ゲンク)はシャドーでプレー。スウェーデン戦(ダラス)の先制弾を挙げた前田大然(イプスウィッチ)も左シャドーで先発しており、彼らの連携と迫力、推進力が日本攻撃陣の命運を大きく左右するのは間違いないだろう。
そういう前提でウルグアイ戦を振り返ってみると、スタート時は左に鈴木唯人、右に堂安律(フランクフルト)という組み合わせだった。「同じ(ユリアン・シュスター)監督に育てられているんで、ある程度、ベースのところは似ているかなと思います」と鈴木唯人も試合前日に話していたが、序盤は2人を含めた前線アタッカー陣が流動的に動き、押し込む展開を作れていた。
特に鈴木唯人のいる左サイドは、ウイングバック(WB)・中村敬斗(リヨン)とポジションを入れ替えながらチャンスメーク。そこから右大外の松木にサイドチェンジが何本か供給するなど、ピッチ幅を広く使った攻めを繰り出していた。そこは本人も前向きに捉えていた点だ。
ただ、シュート数自体はは鈴木唯人が1本、堂安がゼロ。「もっとゴールにこだわっていきたい」と強調していた新キャプテンにしてみれば、不完全燃焼感が強かった内容だったのではないか。鈴木唯人も「(今季4ゴールを叩き出している)フライブルクと同じようなプレーをして、ここでいいプレーができるかと言われたら、そうではないと思います」と発言。フライブルクで見せているようなゴールに直結する仕事を増やせるように、周りとすり合わせを進めていくことが肝要だ。「鈴木唯人・堂安」のコンビは今のところ、完成途上と言えるかもしれない。
後半18分に4枚替えが行われた段階からは、左に鈴木唯人、右に久保という組み合わせにシフトした。ちょうどスペースも空いてきた時間帯で、久保がボールを持ちながら攻撃をお膳立て。そこに鈴木唯人ら他のメンバーが合わせるような構図に変化した。
2人が近い距離で絡んだのが、後半28分のワンツー。久保のシュートは惜しくもヒットせず、決定機には至らなかったが、「タケともイメージの共有がだいぶできているんじゃないかと思います」と鈴木唯人も力を込めていた。
W杯敗戦後、背番号8は久保、中村敬斗らとともにバリ島旅行に行ったというが、オフ・ザ・ピッチでの関係作りも新ホットライン形成に役立っているのかもしれない。いずれにしても、鈴木唯人が左シャドーとしての価値を一段階上げたのは確かだろう。
その後、後半32分に8番が下がり、相馬勇紀(町田)が出てくると、中村敬斗が左シャドーに移動。久保と並ぶ形になった。周知の事実ではあるが、この2人はU-15日本代表時代からの仲間。W杯・オランダ戦のゴールに象徴される通り、お互いの特徴を熟知しており、シャドーに並んでも、WBと中央という関係性でもよさを出し合えるメリットがある。今回は時間が5分程度と短かったため、決定的なシーンはなかったが、今後も安定したプレーのできる2人と言っていいだろう。
そして、最後の組み合わせが後半38分以降の左・塩貝、右・久保というコンビ。塩貝の場合は2列目というよりも、セカンドアタッカーとして前へ前へ突き進んでいくタイプだ。その色合いが強すぎて2度の単騎突破で失敗。「あれは出さなきゃダメ」と久保に苦言を呈された。そこで3度目だった後半ロスタイムの決定機では、シンプルに上田に預け、自分が裏抜けする形で2点目をゲット。久保も塩貝のよさを引き出せたことに満足感を抱いたのではないか。
このように、ウルグアイ戦の日本代表は4つのシャドーの組み合わせにトライ。時間的に長かった「鈴木唯人・堂安」コンビがやや物足りなさを感じさせた。2人とも能力・実績ともに非凡で、フィニッシュに直結する仕事ができるのだから、もっと敵に脅威を与えられるような阿吽の呼吸を築き上げてほしい。
幸いにして、今回の9・10月シリーズはまだ約10日の活動期間があるため、共演のチャンスも残されている。もちろん森保監督もウルグアイ戦で起用しなかった後藤啓介(フライブルク)と佐藤龍之介(バレンシア)、今回トップに入った前田、ボランチでプレーした鎌田、右WBに陣取った伊東を含めて、異なるバリエーションにトライしていくはずだ。
既存メンバーの堂安、久保、前田、鎌田、伊東、中村らの組み合わせはある程度、計算できるだろうが、やはり重要なのは鈴木唯人を中心としてここまで出番の少なかった若い世代の融合だ。森保監督は鈴木唯人に「ポスト南野」として大きな期待を寄せている様子。アジアカップ本番までに、彼が背番号8の後継者として大黒柱になってくれれば理想的だ。
そのうえで、今回出ていない後藤と佐藤もそれぞれのストロングを発揮してくれれば面白い。塩貝に関しては目下、「ジョーカー専任」という位置づけではあるが、今後はもっともっと長い時間、ピッチに立てるように自分自身が努力していかなければいけない。
残り3試合で、日本の未来を担う人材がどのようにチームの戦力になっていくのか。どの組み合わせが今後の軸になるのか。そのあたりを注視しつつ、まずは28日のベネズエラ戦(広島)をチェックしていきたいものである。
(元川悦子 / Etsuko Motokawa)

元川悦子
もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。


















