「価値があるうちに戻らないと」 原口元気が語る34歳再渡欧の裏側…見据える「セカンドキャリア」

インタビューに応じた元日本代表の原口元気【写真:徳原隆元】
インタビューに応じた元日本代表の原口元気【写真:徳原隆元】

原口元気が明かしたベールスホット移籍の背景

 今年35歳になった元日本代表MF原口元気が、ベルギー2部ベールスホットでの最初のシーズンを終えた。プレーオフ決勝で惜しくも敗れ1部昇格を逃したが、原口自身は随所で鋭いプレーを披露。浦和レッズでのプレーを経て、再び渡った欧州の地で経験豊富なアタッカーはどんな時間を過ごしたのか。「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じ、1年前の移籍の経緯や背景について、あらためて振り返った。(文=轡田哲朗/全3回の1回目)

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 原口は昨年9月に自身2度目となる欧州移籍を決断し、ベルギー2部ベールスホットに加入した。30代半ばになり、下部組織から在籍した愛着ある浦和レッズを再び離れて欧州へ戻った背景には、セカンドキャリアも合わせた将来へのビジョンが大きな要因にあったと話す。

 2009年に浦和の下部組織から1学年上の選手たちと同じタイミングでトップ昇格し、すぐに出場機会を増やした。主力アタッカーとして着実な成長を見せていた2014年夏、ドイツのヘルタ・ベルリンへと移籍。そこからブンデスリーガの1部と2部で合計10シーズンプレーし、2024年夏に浦和へ復帰した。翌25年も浦和でプレーしていたが、欧州移籍市場の最終盤となった9月にベルギーへの移籍が発表された。

「クラブワールドカップが終わった後に、もう浦和を出ようと決めました。久しぶりにヨーロッパのトップクラブ、インテル(イタリア)だったり、リーベル・プレート(アルゼンチン)だったり、モンテレイ(メキシコ)というクラブとやって、やっぱりもう一度世界に戻らないといけないなと思いました」と、昨年6月にアメリカで開催された大舞台がきっかけになったと話す。そこからチームを探したという原口だが、その条件は「大前提として、選手としてもそうですけど、その先につながるようなクラブを探していました」というものだった。

「選手として価値があるうちにヨーロッパに戻らないと、戻れないと思ったんです。それもありましたし、なおかつ英語を主要に使う環境でやりたいというのもありました。ドイツ語だけだと、ドイツか日本でしか仕事ができない。でも英語ができることによって、セカンドキャリアでも幅が広がるし、いろいろなところで指導者ができる。ベルギーはドイツ語もありますし、あとはオランダ語とフランス語ですけど、ほとんどの人が英語を流暢に話せるので、環境としてはそれも決め手だったのは間違いないです。英語を使うことがメインになる国でサッカーをしながら、セカンドキャリアやライセンスも含めてやっていきたいというのがありました。そういう意味では、一番いい選択肢だったかなと思います」

インタビューに応じた元日本代表の原口元気【写真:徳原隆元】
インタビューに応じた元日本代表の原口元気【写真:徳原隆元】

ベールスホットに移籍して「気づけた部分があった」

 そのベルギーで新たなチームに入っていくことについて、原口は「楽でしたね」とシンプルな言葉を返した。その理由は、2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント1回戦、ベルギー戦で先制ゴールを決めていたことだといい、「ベルギーのサッカーファンからしたら、非常に強烈なインパクトのある試合だったと思います。『あそこで点を取ったんだよ』と言うと、『ああ』となる。誰もが覚えてくれていますからね」と笑った。サッカーの世界におけるW杯の存在感の大きさを感じさせるエピソードとも言えるだろう。

 また、30代半ばに入ってのヨーロッパ移籍では、サッカーと生活のバランスも「サッカーと家族と語学の3本柱のような感じで」作り上げているという。そこには、浦和での1年間に対する反省もあると話した。

「もう少し力を抜いていいフェーズだったのかなと思います。ベールスホットでパフォーマンスが出たことを見ても、そこに気づきました。自分の体と会話してやってきたつもりでしたけど、浦和での1年は『やらなきゃ、やらなきゃ』が勝ってしまったかもしれない。難しいですけどね。ドイツや代表での成功体験が邪魔した部分もあったと思います。『これで成功してきたから間違いない』と信じすぎた。逆にベールスホットでは、少し力を抜いてやろう、もう一回サッカーを純粋に楽しもうと思ったことで、また気づけた部分がありました」

 そうして過ごしているベルギーでの日々と、2部リーグでの戦い。原口は「トライしてくるチームが多い」というリーグでの環境や、惜しいところで昇格を逃したベールスホットでの1年についても語ってくれた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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