国内リーグは「本当に危機的だった」 存亡危機脱するも…立ちはだかる巨大な壁「伸びるわけがない」

「穴埋め」から「成長」へ 補助金に頼らない、自立経営への第一歩
日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)の野々村芳和チェアは、1月28日に東京都内で取材に応じた。ウインターブレイクを経て2月14日、15日の2025/26 SOMPO WEリーグ再開を前に、その口から出たのは、リーグが「危機的状況を脱した」という安堵の言葉と、立ちはだかる「投資」という名の巨大な壁についてだった。
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1年半前、WEリーグは存亡の危機に立たされていた。野々村チェアは、当時の状況を「本当に危機的だった」と振り返る。2024年9月にJリーグのチェアマンと兼任でチェアとなり、日本サッカー協会(JFA)会長の宮本恒靖氏が副理事長に就任した。シーズン開幕直前の急転直下の交代劇だった。
急務であった「経営の見直し」をベースに「観客数増加の施策」「スポンサー収入の強化」「支出削減」など全方位的に改革を行った。今シーズンもJFAからの補助金が大きな柱ではあるものの、1年以上に及ぶ経営努力により、ようやく自力で運営していくための目途が立ったという。
「これからのフェーズは、どうやって穴を埋めるかではなく、成長するために何をするかという段階に入っている」
すでにマーケティング基盤の開発にも乗り出しており、「JリーグID」のような「WEリーグID」を導入するため、来シーズンに向けて準備を進めているところだ。また、今シーズンから“集客注力試合”を設定し、リーグから1試合100万円の補助金を出し、プロモーションの専門家を希望するクラブへ派遣。実際に今シーズン前半戦の集客数は増加傾向にあり、現場の空気感はポジティブに変わりつつある。
「投資しなければ、伸びるわけがない」突きつけられた論理
しかし、野々村チェアの論調は決して楽観的なものではない。会見中、何度も繰り返されたキーワードは「投資」だ。WEリーグが抱える最大の課題について熱く語る。
「プロモーションをするにしても絶対的にコストが必要。そのコストをどう投資し、どう生み出すかをみんなでやっていくべきだ」
日本サッカー界全体が欧州やアメリカに比べて「投資するための余力」が圧倒的に不足している現状を指摘する。日本女子サッカーのポテンシャルを認めつつも、「投資をしなければ伸びるわけがない。(成果が)出るわけがない」と断言する。
「投資しなければ、伸びるわけがない」突きつけられた論理
WEリーグ再建の鍵として期待されるのが、Jリーグとの連携だ。野々村チェアは、就任時からJリーグの知見を活かした取り組みを明言していた。しかし、そこには別法人ゆえの「利益相反」という高いハードルが存在する。
例えば、Jリーグが持つ放映権料やスポンサーをWEリーグに回すといった単純な転化や共有は、Jリーグの価値を損なうことになり、容易ではない。
「そこは期待しすぎないで欲しい。(数字を)すぐに倍にするなんていうのは、今の状況では夢物語。それがプロスポーツの現実なので」
野々村チェアは、安易な期待を牽制するように釘を刺した。
2025/26 WEリーグ クラシエカップ決勝が4月29日にUvanceとどろきスタジアムで開催されることが決定した。昨シーズンの決勝は国立競技場で行われ、21,524人の観客数を記録。2シーズン前から比較すると3倍以上も増加し、その好転ぶりに多くの人が期待するのも無理はない。
ファン層について、野々村チェアは「男子を見る層と女子を見る層は明らかに違う」と分析。新たなターゲット層をいかに獲得できるか、そのチャレンジは続く。
野々村チェアの任期は今年9月に開催予定の定時社員総会終結の時までとされている。WEリーグ発足から5年目迎えて、危機を脱したWEリーグ。成長曲線を描くために、野々村チェアが主導する改革はまだまだ続いていく。
(砂坂美紀 / Miki Sunasaka)




















