メッシとイニエスタが「先生」 スペイン6年半で語学“学習法”…異例キャリアで磨いた思考回路

山本摩也が描くビジョンとは【写真:増田美咲】
山本摩也が描くビジョンとは【写真:増田美咲】

山本摩也が見据える引退「多分突然来る」

 女子サッカーの未来を考える――。5年目を迎えたWEリーグと、FOOTBALL ZONEは共同企画「WE×ZONE ~わたしたちがサッカーを続ける理由~」で、日々奮闘する選手たちの半生に迫る。第3回はINAC神戸レオネッサのMF山本摩也。早稲田大学を卒業後、即スペインに渡って6年半プレーし、INAC神戸では4年目を迎える。明るくクレバーな32歳MFの連載第5回は、未来への思考について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全5回の5回目)

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 何を経験し、思考を巡らせるのか。サッカーだけに限らず、オフ・ザ・ピッチでも分析的で鋭い洞察力は山本の「頭の中」の特徴だ。名門・十文字高校から一浪を経て早稲田大学へ進学して、卒業後は即スペインで6年半プレー。異文化の中でも、自ら切り開いてキャリアを重ねてきた。

 その思考回路の入り口はまず学習方法から生まれた。スペインへ渡った当初、22歳の山本は語学が「全くわからなかった」という。そこで習得方法として生み出したのが、興味があるサッカーと結びつけることだった。

「教科書だけ読んでも全然入ってこなかったので、メッシやイニエスタ、スペイン語を話す選手のインタビュー動画をYouTubeで探して、字幕をつけて見ていました。何を言っているのかに興味があるので。スペイン語も知ることができるし一石二鳥。メッシとイニエスタが先生でしたね。メッシはアルゼンチン訛りだけど比較的わかりやすくて、イニエスタのスペイン語は本当に聞き取りやすい。オススメです」

 早稲田大学時代にはゼミで、自らが育ったクラブ、スフィーダ世田谷(現なでしこリーグ1部)のホームタウン商店街を対象にサッカーと社会の接点を研究。学ぶことをやめなかった。今はWEリーグをいかに盛り上げるか、日本の女子サッカーを発展させるかにもグローバルな視点から「ブームは作れると思う。でもそれを継続的に文化として根付かせるのは難しい。例えばSNSの見せ方1つでも、日本人に向けてだけじゃなくていろんな視点を持って発信させることが必要だと思う」と考える。

 自らにも矢印を向ける。現在32歳。選手として山本が描くビジョンは明確だ。

「今から代表に入ってワールドカップに出たいですというよりは、自分は日々成長したいし、サッカーを楽しみたいし、まだ情熱があるからやっている。多分突然来ると思います。『辞めよう』という時が」

 チャリティーなどの慈善活動も行い、「自分を介して何かのきっかけになってくれたらいい。そういう存在になりたいとは思っている」という。自らのキャリアを冷静に分析し、常に刺激的な環境と成長を追い求める山本。彼女の「情熱の炎」が尽きる日まで、その挑戦は終わらない。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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