12歳で下した前例なき進路「珍しい」 つながった強豪からの複数オファー…“辞退”の決断と新たな道

中学時代に史上初の女子選手として男子チームに在籍
女子サッカーの未来を考える――。5年目を迎えたWEリーグと、FOOTBALL ZONEは共同企画「WE×ZONE ~わたしたちがサッカーを続ける理由~」で、日々奮闘する選手たちの半生に迫る。第2回はRB大宮アルディージャWOMENのMF大島暖菜。連載2回目は、12歳で下した“異例”の決断について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全4回の2回目)
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小学生の頃は男の子に混じって……女子サッカーを続ける選手たちの中でよく聞く言葉だ。だが、大宮でWEリーガーとして4年目を過ごす20歳の大島は地元・街クラブの女子チーム出身。小学1年生で欅SC女子サッカー部へ入り、そのまま中学へ進学。しかし、ここで1つ大きな決断をした。
「中学ではそのまま(小学生の頃と)同じ女子チームで続けていたんですけど、中学から男子のクラブチームにも混ぜてもらいました。3年間女子は1人でした。中学から混ざるっていうのは珍しいですよね」
中学へ進む際、大島が選んだのは女子と男子チームの“掛け持ち”。男子チームではこれまでの女子選手の在籍の前例がなく、まずはセレクションを受けることになった。
「女子の強いクラブチームも練習に行ったんですけど電車で行かないといけなくて、移動時間も考えて男子のクラブチームに行ってみた。1人男子の中で(セレクションを)受けさせてもらったら受かって、初めて受け入れてもらった。当時の監督はすごく平等に扱ってくれて、何不自由なく楽しく過ごせました」
ただ、中学に入って体格差や筋肉量の違いからフィジカル面は悩んだ。「かけっこで1位以外取ったことがなかった」と自信があったスピードも「男子の中だと生かせなかった」。ポジショニングやボールの受け方を工夫。1対1では絶対に仕掛けることを自身に誓った。
「男子相手でパスで逃げるんじゃなくて(仕掛ける)強い気持ちは持っていた」
実力をメキメキとつけ、高校の進路を悩む時期。ここでは小学1年から9年間続けた女子チームでの経験が生きた。都立の高校へ進学するつもりだったが、山梨の日本航空から“オファー”が届いた。それだけではなく、全国区の数々の強豪からも話が。一気に選択肢が広がった。
「勉強が苦手だったけど、サッカーがあったから高校の選択肢が増えるんだとすごく嬉しくなったのを覚えています。女子チームの監督のご家族が(日本)航空と縁があり、練習試合で私のプレーを見てくださった。(ほかにオファーがあった高校に比べて家から)近かったのも練習環境も人工芝で恵まれていて、寮もグラウンドと近かった。それで航空を選びました」
小学1年でサッカーを初めて6年間、女子チームで揉まれていた暖菜少女が12歳から男子の世界へ飛び込んだからこそ広がった選択肢。高みを目指す“決断”が道を切り開いた。異例であっても、前例がなくとも、挑戦は無駄にならない。大島が示した覚悟が周囲を動かしたのだった。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)




















