1年前の苦い思い出「過信してしまった」 成長真っ只中…強豪校の2年生DFが誓う「今年こそ」

履正社の高屋敷永輝【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
履正社の高屋敷永輝【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

履正社の2年生・高屋敷永輝が抱く先輩たちへの思い

 右サイドから疾風の如く現れ、正確なクロスとシュートでゴールを演出する。履正社の2年生DF高屋敷永輝は、第104回全国高校サッカー選手権大阪府予選準決勝の大阪産業大附属高戦に右サイドバックで出場し、2ゴールに絡む活躍で4-3の勝利に大きく貢献した。

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 0-0で迎えた前半8分、MF鳥山陽斗のクロスにMF大重健二朗がシュートを放つとDFが弾いたこぼれ球に素早く反応した。「こぼれてくると思ったし、ミドルシュートは得意なので」とトップスピードでペナルティーエリア付近のボールを角度がある中で強烈な右足シュート。これはDFが必死で足に当てたが、こぼれ球を大重が押し込んでチームに先制点をもたらした。

 1-1で迎えた後半19分には中央右寄りで大重がボールを受けた瞬間、右ワイドに張り出していた高屋敷は、一気にペナルティーエリア内右(右ポケット)のスペースに加速。大重のスルーパスに抜け出すと、そのままダイレクトでニアサイドに飛び込んだFW林潤瑞へライナーのクロス。正確なクロスを林がダイレクトボレーで合わせて勝ち越し点を生み出した。

「大重くんはノールックパスが出せる選手。ワイドに張ってハーフスペースを開けておいてから、相手が僕を見た瞬間に走ったら出してくれると思ったので、僕はそのタイミングを逃さずにオフサイドにならないように走り出しました。クロスの部分でも前半から大産大附属の選手が速いクロスへの対応が甘かったし、出遅れていたので早く入れようと思いました。スプリントする時間が長くて、考える時間はあったのですが、慎重になってやるより、あそこはダイレクトで上げた方がいいと思って蹴りました」

 高屋敷のプレーは決して偶発的なものではなく、緻密な思考の中から生み出されている。大柄ではないが、加速力、アジリティー、跳躍力を含めたずば抜けた身体能力を持っており、そこに頭脳をリンクさせて右サイドを活性化させていく。

 将来性十分の右サイドバックは今、悔やんでも悔やみきれない苦い思い出と向き合っている。昨年度の選手権大阪府決勝、高屋敷は阪南大高との大一番で1年生ながらスタメン出場を果たした。この大会の2週間前にAチームに昇格したばかりだったが、予選を通じてスタメンに抜擢されても堂々たるプレーを見せていた。

 しかし、決勝で落とし穴が待っていた。0-0で迎えた後半8分、相手が自分のサイドでワンツーを仕掛けてきた時、高屋敷は「奪える」と思ってワンツーの瞬間を狙ってインターセプトを仕掛けた。

 だが、相手に先に触れられると、そのまま逆に自分が開けた左サイドの広大なスペースを突かれた。戻りきれずにペナルティーエリア内まで運ばれると、マイナスの折り返しを決められて痛恨の先制点を献上した。これで流れを奪われた履正社は、大きく崩れて大量5失点。決勝戦で0-5の大敗を喫してしまった。

「読めたと思ったのですが、自分のスピードを過信してしまった瞬間でした。チームが崩壊するきっかけを作ってしまったことが今でも悔しいし、焼きついています。今年は相手が違う(決勝で興國と対戦)のですが、今度は自分が活躍をしてチームと勝利を掴みたいという思いが強いです」

 個人的な思いもあるが、チームとしてもこれで6年連続の決勝進出で、過去2大会はいずれも敗れているだけに、「今年こそ絶対に全国に行きたい。それはみんなが強く思っていることだと思います」と先輩たちへの思いに応えたいという気持ちも強い。

「感覚的には1年間があっという間なのですが、成長した姿は絶対に見せないといけないと思います。平野直樹監督からも『ビルドアップはできるようになったから、次は自分でスペースを作る動きをできるようにならないといけない』と言われているので、ちゃんと自分の中で落とし込んで、力に変えていきたいと思っています」

 2点目のアシストはまさにその動きから生まれた。成長真っ只中にいる高屋敷は、リベンジの気持ちとお世話になった人たちへの恩返しの気持ちを持って決勝のピッチでの躍動を誓っている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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