2G4Aも「決められる選手にならないと」 決勝で惜敗…逸材MFの反骨心「ごまかさずに」

大津高MF岩﨑天利に注目
8月2日に幕を閉じたインターハイ男子サッカー。昨年度から5年間、福島県での固定開催となったこの大会は、全国の予選を突破した51校が激しい戦いを演じた末に、神村学園が初優勝を飾った。真夏の福島で躍動を見せながらも、志半ばで「敗れし者たち」をピックアップしていく。
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最終回となる第21回は、決勝において神村学園と激戦を演じるも、2-2のPK戦の末に敗れた大津高のMF岩﨑天利について。右サイドハーフとしてキレのあるドリブルとテクニカルなシュートで、準優勝に大きく貢献した彼が誓ったこととは。
右サイドで彼がボールを持つと、躍動感あふれるドリブルを仕掛けてチャンスを作り出す。だが、彼の魅力はボールが逆サイドにある時のフリーランニングの質にある。
ボールを離してからは周囲の状況を見ながら、相手の背後や間のスペースに立って、いつでも前に飛び込める状況を作り、ボールが逆サイドに展開されたら、息を潜めてファーサイドでクロスに合わせるための準備を着々と行う。
その準備が結果につながったのは、準々決勝の昌平戦と決勝の神村学園戦だ。昌平戦、0-0で迎えた29分、右サイドバックの村上慶がカットインで中に運んでくるのを見て、岩﨑は一緒に動き出して、パスコースを作りながらゴール前へ向かった。村上のスルーパスが足元に届くと、豪快に左足を振り抜いて先制弾を叩き込んだ。
決勝では1-2で迎えた延長後半2分、村上から左サイドを駆け上がったMF松岡凛へ展開。松岡がカットインで一人を剥がしてから、右足のクロスを上げると、ファーサイドのスペースに入り込んでいた岩﨑が高い打点のヘッドで合わせ、ゴール左サイドネットに突き刺した。
このシーン、岩﨑は左サイドバックに移っていた村上が中央に上がってきてビルドアップをしてきたのを見て、すかさず右ワイドに張り出した。
村上がキープから左に展開をしたのを見ると、クロスを警戒している相手の左サイドバックに対して、敢えて遠い位置をキープして飛び込むスペースを空けた。松岡がカットインを仕掛けたことで、さらに内に絞った相手DFを見て、迷わず背後のスペースに猛ダッシュを仕掛けると、インカーブを描いたクロスに頭1つ抜け出して高い打点のヘッドで合わせた。
1回戦から3回戦までは3試合連続の4アシストをマーク
ボールの動きの予測と相手との駆け引き、そしてバネを生かした空中戦の強さ。彼の持っている能力が凝縮されたファインゴールだった。
「村上が同サイド(右サイドバック)をやっている時は、僕は思い切りドリブルを仕掛けられるし、村上が上がってきた時はなるべく近くで連動して、2人で崩していくことを意識しています。逆に彼が左サイドバックをやっている時は、必ず彼からいいボールが来るので、飛び込む準備をするようにしています」
まさにこの連携が形になった2ゴールに加え、昌平戦までの1回戦から3回戦までは3試合連続の4アシストをマークするなど、ほぼ全試合で結果を残した岩﨑。高校ナンバーワンサイドバックと呼び声の高い村上も、「岩﨑はボールを取られないし、突破もシュートもできるので、彼の特徴を生かしながら自分の武器であるキックや運ぶプレーを出すことをイメージしています」と絶大の信頼を寄せる存在となっている。
「今年はみんなで日本一を目指していて、この夏がチャンスだった。アシスト、ゴールはできましたが、1試合で1点とかではなく、2、3点とチャンスでしっかりと決められる選手にならないといけないと思いました。あと一歩という言葉でごまかさずに、これからプレミア、選手権とチーム一丸となって勝つことにこだわって、日常から厳しく要求しあっていきたいなと思います」
決勝後、こう口にしたように、彼の中で「惜しかった」という言葉はなく、負けは負けと捉え、今後の反骨心に変えていく決意がにじみ出ていた。右サイドからボールがあろうがなかろうが、相手に脅威を与え続けるサイドアタッカーは、その圧力をさらに強めて全国の舞台で結果を出すことを高らかに誓った。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















