日本代表に現れた新星…「35分間に1ゴール」の衝撃 「決定版とは言えない」定位置争い激化

E-1で大活躍のジャーメイン良、注目の日本代表CF争い
E-1選手権でジャーメイン良が5得点で大会得点王とMVPに選出された。
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初戦のホンコン・チャイナ戦では前半だけで4ゴールの大暴れ。事実上の優勝決定戦となった韓国戦でも決勝点となるゴールを決めた。そこまで強い相手ではなかったとはいえ、3試合のプレー時間175分間で5得点、35分間に1ゴールという決定力だったわけだ。
得点以外のプレーが際立っていたわけではないが、ストライカーの価値はなんといっても得点力。30歳で初代表は珍しいが、今後も招集される可能性は十分あるだろう。
E-1を足掛かりに代表に定着した選手は少なくない。柿谷曜一朗、山口蛍、青山敏弘、遠藤航をはじめ、近年でも伊東純也、浅野拓磨、田中碧、相馬勇紀、町野修斗がいる。
現在、日本代表のセンターフォワード(CF)は確定していない。
2025年3月時点での日本代表選手の市場価値では、1位が三笘薫(ブライトン)の約73億円、2位は久保建英(レアル・ソシエダ)の約65億円。以下、伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)、冨安健洋(アーセナル→未定)、堂安律(フライブルク)、佐野海舟(マインツ)と続くが、CFはようやく16番目に上田綺世(フェイエノールト)、18位に前田大然(セルティック)となっている。
市場価値が単純に選手の価値を表すわけではない。ただ、本来得点源となるCFの市場価値は高いはずなので、それがトップ10にも入っていないというところに日本代表の現状が表れているかもしれない。
現在の一番手は市場番付どおり上田だと思う。もともとラストパスを引き出す上手さがあり、欧州へ移籍してからは目に見えて身体が大きくなってパワーが増した。前線でロングパスを収める能力が高く、ワールドカップ(W杯)で強豪国に攻め込まれる展開を考えると最適のCFだろう。
一方、前線からプレッシングするなら前田が適任だ。昨季、セルティックで猛威を振るった快足は対戦相手にとっては脅威になる。
シュートの上手さ、得点力なら古橋亨梧、小川航基がいる。ジャーメインはこのカテゴリーだ。上田の競争相手としては町野。前田のライバルは浅野、細谷真大あたりになる。
しかし、いずれにしても決定版とは言えない。試合の性質によって起用するCFを変えるということになるのではないか。CF以外のポジションの選手の得点に期待するなら偽9番という手もあるが、日本代表でこれを使ったことはない。
基本的に相手ゴールに最も近い場所でプレーするCFは、当然のことながら得点に直結する存在である。また、その時の調子に左右されやすいポジションでもあり、W杯までの1年で新たな選手が台頭する余地もありそうだ。E-1選手権でのジャーメインの活躍によって、ポジション争いがより熾烈になってくる。W杯で印象を残せるCFの登場に期待したい。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)

西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。





















