E-1に推薦する逸材5選 「明確な武器と伸びしろ重視」…“ターゲットマン”から超大型19歳

Jリーグで活躍する選手たちからピックアップ【写真:徳原隆元 & 柳瀬心祐】
Jリーグで活躍する選手たちからピックアップ【写真:徳原隆元 & 柳瀬心祐】

急成長ドリブラーにロス五輪世代も

 森保一監督が率いる日本代表は7月に韓国で開催されるE-1選手権に臨む。インターナショナル・マッチデーに含まれないことから、これまでと同じく、Jリーグで活躍する“国内組”で編成される見込みだ。

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 森保監督はFIFAクラブワールドカップに参加した浦和レッズ、またプレミアリーグのトッテナム・ホットスパー移籍が報じられる高井幸大(川崎フロンターレ)のように、海外移籍が合意に達している選手は招集の対象外になることを明言しており、スコットランドのセルティックへの移籍が濃厚な稲村隼翔(アルビレックス新潟)やベルギーの名門ロイヤル・アントワープへの完全移籍が発表された野澤大志ブランドン(FC東京)なども、今回は見送られそうだ。

 また選考の基準として、J1での活躍を前提として“若さ”というのもキーになる。最終予選のラストとなった6月シリーズにはU-20日本代表の中心でもある18歳の佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)が大抜擢された。今回もポテンシャルの高さが評価された選出も大いにありうる。

 森保監督としては前回ワールドカップのカタール大会の町野修斗(ホルシュタイン・キール)や相馬勇紀(FC町田ゼルビア)のように、W杯の最終メンバーに食い込む可能性がある選手を探しており、個としての“伸びしろ”をどう見るかで、招集される選手が大方決まってくるだろう。その一方で、稲垣祥(名古屋グランパス)のように年齢はベテランでも、J1で圧倒的な存在感と結果を出している上に、これまで代表経験もある選手はチームのリーダー的な役割も兼ねて選ばれる可能性は十分にある。

 そうしたことも踏まえた筆者の目線で、E-1選手権での飛躍が期待される5人を厳選した。

 1人目は中村草太(サンフレッチェ広島)だ。大卒ルーキーの22歳は広島で、3-4-2-1であればシャドーとウイングバック、また本来は1トップもこなせるタレントで、豊富な運動量と技術的なクオリティを兼ね備える。関東大学リーグで得点王とアシスト王をダブルで獲得するなど、ゴールを決めることも、決めさせることもできる。複数ポジションのポリバレントであることは、森保ジャパンで定着するには不可欠な要素だが、さながら全てのポジションで高い強度を長い時間、連続的に出せるというのは大きなスペシャリティだ。

 2人目は久保藤次郎(柏レイソル)をあげたい。躍進中の柏では3バックの右ウイングバックが定位置となっているが、2シャドーでも輝けるポテンシャルはある。強みはボールを持った時の縦の推進力と独特のリズムで、前を向いてスピードに乗ったら、韓国や中国の屈強なディフェンスをかなり苦しめそうだ。ブレイクしたJ2の藤枝MYFCからドリブラーのイメージが強かったが、柏ではオフの動きにも磨きをかけており、左からのクロスに勢いよく飛び込んで合わせるシーンも目立っている。

 3人目は原大智(京都サンガF.C.)だ。主に3トップのウイングを担う原は数字だけを見れば、ここまで2得点5アシストと、ストライカー目線での物足りなさはあるが、縦のボールを収めたり、ディフェンスとのバトルに競り勝って周囲の選手に良い形でフィニッシュさせたりと、ターゲットマンとしての価値が非常に高い。もちろん1トップもできるが、ワイドの高い位置で起点を作るプレーにこそスペシャリティがある。森保ジャパンの3-4-2-1にウイングのポジションはないが、シャドーのポジションで違いを出せば面白い。

 4人目は大関友翔(川崎フロンターレ)だ。川崎のアカデミー育ちで高井と同じ学年だが、2005年の早生まれのため、ロス五輪世代となる。3列目からタイミングよく前に出ていくセンスとゴール前のクオリティに優れている。特にACLエリートで見せたパフォーマンスは国際舞台でも十分にスペシャルな能力を発揮できることを印象付けた。長谷部茂利監督のもとで、スタメン起用は多くないが、6月シリーズに呼ばれた佐藤も当時、岡山でジョーカー的な起用が多かったことを考えれば、森保監督が明確な武器と伸びしろ重視で選んでもおかしくないだろう。

 5人目は19歳のGKピサノ・アレックス幸冬堀尾(名古屋グランパス)を選んだ。長く名古屋のゴールマウスを守ったミッチ・ランゲラックが退団、カタールW杯メンバーでもあるシュミット・ダニエルが加入するも、怪我で離脱するなど、チームにとって不測の事態が若きGKのチャンスになったことは間違いない。細かい技術を見ればJ1の他のGKに比べても課題は多いが、197cmのサイズにリーチの長さを生かしたセービングなど、スケール感は抜群だ。また試合を重ねるごとにパフォーマンスが安定してきており、現在は復帰してきたシュミットをそのままベンチに控えさせている。来年の本大会で鉄板との声も多い鈴木彩艶(パルマ)を脅かしていく存在として、年長の実力者たちを押しのけて、E-1メンバーに抜擢される可能性は大いにあるのではないか。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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