日本代表が世界で勝つために、胸に刻むべき「ゆでガエル」の教訓

バック・トゥー・ザ・フューチャー、日本は“未来”へと戻れるか

 

図4

 最後のイラストは左がW杯の日本戦におけるコロンビア、右がヨルダンのパスとシュートの軌跡だ。

 パスが少ないため、多くのスペースが目につくが、コロンビアの方がより多くのボールをボックス内、あるいはバイタルエリアに送っている。成功を示す緑のラインもそのエリアにおいて圧倒的に多い。つまり得点に大きく関わる決定的なエリアでのパス成功率が高いことを示す。

 コロンビアはワールドカップ出場国の中で最もポゼッション率が高かったチームだ。そのベースがあった上に状況に合わせた戦術的成熟度が高まった。ポゼッション率が高く常にゲームにおけるイニシアチブを取る日本のようなチームに対して、ボールを取るタイミング、取った後のスピード、精度、決定力が備わっている。こういうチームとの対戦するのが世界の舞台だ。

 昔、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」というアメリカ映画が大ヒットした。タイムスリップしてしまい自分の父親が高校生の頃に戻ってしまった少年が自分にとっての現在、タイムスリップした時点に戻ろうとする話だ。

 日本代表は、わずか半年前のワールドカップで優勝を口にする選手がいる中で、グループリーグで1勝も出来なかった。それが世界における現在地だ。アジア自体の現在地も同じ場所をさまよっている。現時点におけるトップランナーは言うまでもなくドイツであり、アルゼンチン、オランダ、ブラジルがそれに続いている。日本が惨敗したコロンビアでさえそこにはたどり着いていない。しかしトップランナーたちに勝たない限り、日本の「夢」は実現しない。残念ながら現在はタイムスリップした過去の土俵上の戦いに見える。

 しかし、それも大事な成長の場だ。何故ならアジアカップでの勝利はコンフェデレーションズカップというさらに高いレベルの戦場にいざなってくれるからだ。ならば、そこで知恵を使い、もう一度未来に戻ることが大事だ。常温水の温度は少しずつだが上がってくるはずだ。どのような沸点まで上がろうともアジアという器の中で死んでしまうことは許されない。

 ワールドカップ本大会の7か月前、オランダ代表やベルギー代表と戦った試合は間違いなく“フューチャー”のサッカーの輝きを放った。コンフェデ杯のイタリア戦もそうだろう。バック・トゥー・ザ・フューチャー、日本代表は未来に戻れるのか。そして、さらなる高みに到達できるのか。そのためにもまずは23日から挑む決勝トーナメントで、高い目標を胸に刻みながら、アジアトップの座を勝ち取ることが重要だ。

analyzed by ZONE Analyzing Team

データ提供元:opta

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【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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