浦和レッズ「最新序列」考察 インサイドハーフは“飽和状態”、メンバー固定で起こる弊害とは【コラム】

浦和を率いるペア・マティアス・ヘグモ監督【写真:Getty Images】
浦和を率いるペア・マティアス・ヘグモ監督【写真:Getty Images】

ヘグモ監督が新たに就任、大型補強に4-3-3システム明言

 浦和レッズは今季、ペア・マティアス・ヘグモ監督が就任して4-3-3システムの導入を宣言し、プレシーズンから準備を重ねてきた。スウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソン、イタリア・セリエAの名門ASローマからはノルウェー代表FWオラ・ソルバッケンなどの大型補強を行った浦和が2006年以来となるリーグ優勝を目指す。

 沖縄県でのトレーニングキャンプから、試合出場に近いメンバーとサブメンバーがハッキリするような形で紅白戦などを積み重ねてきたが、リーグが開幕した今、その内訳はどのようになっているのか。各ポジションの最新序列を考察する。

■GK

 まず、GKでは西川周作が不動の守護神だと言える。浦和で11年目を迎えた西川は、ジョアン・ミレッGKコーチとの3年目に入り、近年の進化は明らか。第2GKに昨季のルヴァンカップで好プレーを見せた牲川歩見、さらに「勘の良さ」を感じさせる吉田舜が続くのが現状だろう。

■センターバック(CB)

 そしてセンターバック(CB)ではアレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンの北欧コンビが鉄壁。昨季のベストイレブンにも輝いた2人がファーストチョイスになってくるが、そこに挑んでいるのが新加入の佐藤瑶大と井上黎生人という構図。開幕戦では佐藤がベンチに入ったが、まずはルヴァン杯などでチャンスを窺うことになるか。

■サイドバック(SB)

 サイドバック(SB)では右にキャプテンの酒井宏樹(元日本代表)が入る。そして昨季から主力2人が移籍した左SBは、もう少し前のポジションが得意そうな新加入の渡邊凌磨がキャンプの後半からレギュラーの座を掴んでいる。パリ五輪世代の大畑歩夢も評価は低くなさそうだが、現状ではやや差があるか。新加入の石原広教は右をメインに両サイドでき、2年間FC岐阜でプレーして復帰の宇賀神友弥は左をメインに右をこなす。ただし、酒井が不在の際には中盤やウイングでプレーする関根貴大が回ってくる可能性も小さくない。

■アンカー

 アンカーは、ヘグモ監督が浦和の前に率いていたスウェーデン1部ヘッケンの中心選手で同国代表グスタフソンがメインで、昨季まで不動だった岩尾憲が控える形に。一方で、岩尾がグスタフソンのチームへの順応を助けるなど両者は良い関係にある。3番手が必要な場合は安居海渡や堀内陽太、武田英寿から選択されそうだが、ヘグモ監督がこのポジションに求めるのはプレーメーカーになれることであり、グスタフソンと岩尾の2枚でシーズンが完結するかもしれない。

インサイドハーフでは左右で違い、ウイングでは目玉補強ソルバッケンに期待

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■右インサイドハーフ

 インサイドハーフでは左右で少しキャラクターの違う選手が配置されている。右側はダブルボランチの一角になれるタイプが多く、就任前のチェックからヘグモ監督が高評価していたという伊藤敦樹が不動。紅白戦のBチームは安居が入ることが多いが、開幕戦は安居をベンチに入れず岩尾を交代で送り込んだ。キャンプでは武田や堀内が3セット目に入ることもあったが、序列の2番手という表現では岩尾なのかもしれない。

■左インサイドハーフ

 また、左側はよりトップ下に近いタイプの選手が入ることが多く、小泉佳穂や中島翔哉、関根が良いポジション争いをしていると言えそうだ。現状は小泉が起用に近い状態にあるが、中島の攻撃的センスは切り札にもなり得るもの。小泉や関根の長所は個性の強い周囲をつなぐようなプレーができることでもあり、そうした存在としても重宝されていそう。

 早川隼平やエカニット・パンヤが3セット目に入ることもあるが、現時点で少し厳しい位置にいると言えそうだ。また、負傷中の大久保智明はこのポジションにも意欲を示している。いずれにせよ、インサイドハーフは激戦区という表現を少し超えて選手が飽和している感はある。

■ウイング

 ウイングでは目玉補強の1人であるノルウェー代表ソルバッケンが両サイドでプレーでき、右は前田直輝、左は松尾佑介が典型的なウイングプレーヤーとして評価が高い。そこに関根が絡んできて2人のスタメンが選出されそうだが、ヘグモ監督にはベンチに1枚キレのある選手を残しておきたそうな感もある。開幕戦では関根と松尾がスタメンで前田を切り札にした。負傷から復帰すれば大久保と安部裕葵も加わってくるが、3セット目で早川がここに回ることもある。

■センターフォワード(CF)

 センターフォワード(CF)では新加入のチアゴ・サンタナを軸に、興梠慎三が控える。負傷離脱中のオランダ人ブライアン・リンセンも能力は高いが、これまでに名前の出たエカニット以外の外国籍選手が全て出場すると6人目になってしまうことから、複雑な位置にいる。昨季はサイドで起用されることのあった髙橋利樹は、ここでベンチ入りを目指すことになりそうだ。

メンバーを固定する傾向がどう転ぶか

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 まずはサンフレッチェ広島との開幕戦のスターティングメンバーに、ソルバッケンや前田、中島あたりが絡んでくるのが3月から4月の見通しになりそうだ。一方で、過去の春先にあったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)やルヴァン杯のグループステージがないため、レギュラーを獲得できていない選手の出場機会確保が難しくなってくる。

 公開トレーニングでもメンバーを固定しながら進めているヘグモ監督だけに、モチベーションの管理などマネジメントの部分も今後の課題にはなりそうだ。

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