データから導き出す神戸&横浜FMの「共通点」 絶対的エースが叩き出した“数値”とは?

2023シーズンの得点王に輝いたアンデルソン・ロペスと大迫勇也【写真:徳原隆元】
2023シーズンの得点王に輝いたアンデルソン・ロペスと大迫勇也【写真:徳原隆元】

「ゴール期待値」に見る得点力

 2024年のJリーグの開幕が今週末に迫ったが、Jリーグは昨季の詳細データ「J STATS REPORT 2023」を公開している。昨季の上位2チーム、ヴィッセル神戸と横浜F・マリノスにはデータからも明らかな強みがあった。

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 昨季は神戸が史上初のリーグ優勝を果たし、横浜FMが2位に続いた。神戸からはFW大迫勇也、横浜FMはFWアンデルソン・ロペスが22得点して得点王に並んだ。この2人のストライカーの能力はリーグの中でも頭抜けていたことが「ゴール期待値」から示されている。

 このゴール期待値というデータは、シュート1本についてどのくらいの値でゴールが期待できるかというものになる。例えばゴール前でフリーになり、GKも飛び出しているような決定機で放つシュートなら数値は「1」に近づき、ハーフウェーライン付近からGKも準備している状況でシュートを放つなら数値は「0」に近づく。実際にそこまで極端な状況は多くないが、これらの数字を累計していくことで、定められた期間に「どれくらいのゴール数が期待できるか」が数値化される。

 これらはシュートと、それがゴールにつながった回数で算出するものであるため、オウンゴールはこの場合のゴール数に含まれない。

 それによると、シーズン全体で神戸のゴール期待値は「47.7」だったが、実際には59ゴールを奪い、その差は「11.3」もあった。これは、チャンスの質に対するゴールを奪う能力が大きかったと言える。横浜FMも期待値「50.8」に対して実際には60得点だったために「9.2」も上回った。

 その理由が得点王の2人だったと言えた。個人で見るとロペスは期待値「16.3」、大迫は期待値「14.4」に対して22ゴールであり、いずれもゴールを奪う能力の高さを見せつけた。得点ランク3位のFWキャスパー・ユンカー(名古屋グランパス)は、期待値「15.5」に対して16ゴールとチャンスに対して標準的なゴール数だった。

 また、無念の降格となった横浜FCが期待値「40.4」に対して29ゴールで、決定力不足が成績に響いたことが顕著。また、3位のサンフレッチェ広島の期待値は「52.5」と神戸や横浜FMを上回りながら、実際のゴール数は40であり「12.5」も下回ってしまった。もし広島にリーグトップクラスのストライカーがいれば、優勝争いにもっと際どく食い込んでいた可能性も十分にあった。

 今季のJ1は23日の広島と浦和レッズによるゲームでスタートし、20チームによる全38節で行われる。チャンスの質と、それをゴールに決める能力を掛け合わせたところにある数値の高さはリーグの成績に直結するだけに、その行方が注目される。

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