「外に弾いたプレーから始まった」 鈴木彩艶の“逃げの姿勢”を日本代表OB指摘「敗因になる」【見解】

栗原勇蔵氏が課題を指摘【写真:ロイター】
栗原勇蔵氏が課題を指摘【写真:ロイター】

【専門家の目|栗原勇蔵】開始5分での失点に「尽きる」

 森保一監督率いる日本代表は、1月19日に行われたアジアカップのグループリーグ第2戦でイラクに1-2で敗れた。2戦連続でスタメン出場したGK鈴木彩艶はまたも失点を重ねる形となってしまい、元日本代表DF栗原勇蔵氏が課題を指摘している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 日本は前半5分、サイドチェンジから右サイドを切り崩されると中央へのクロスをGK鈴木彩艶が弾いたところをFWアイメン・フセインにヘディングで押し込まれて失点。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の確認を経てイラクの得点が認められ、日本は2失点したベトナム戦に続き前半での失点になってしまった。

 日本代表OB栗原氏は、「開始5分の失点で相手も乗ったと思うし、そこ尽きる」と失点シーンの守備を課題に挙げた。

「先制点を与えたシーンはパンチングでもっと飛ばさないといけないところ。それが相手の、しかも身長がある選手のところに行ってしまった。今の彼の流れの悪さを表している気がします。ただ、その前にブレ球のシュートを打たれて、簡単に外に弾いて逃げたプレーから始まってると思います」

 栗原氏は、先制点を許す前の前半4分、イラクMFアリ・ジャシムが左足でミドルシュートを放ち、これを鈴木がパンチングで弾いて左サイドのタッチラインへとボールを出したプレーに言及した。

「もちろんボールがブレているのかもしれないけど、かなり早い段階で弾きに行く判断をしてしまっていた印象。正面だったし、相手選手が目前に詰めてきているわけでもなかったので味方としては取ってほしい。彩艶はセービングでアピールしていかないと駄目だと思います。ベトナム戦の失点の影響もあったかもしれないけど、パンチングではなくキャッチして、マイボールに確実にしてくれると味方としては安心感がある。そこを弾いて相手ボールになってしまってから失点もしているので、反省点だと思います。あのプレーのあと、メンタルが落ちるところで上手く持ち直した感はあったけど、負けてしまうと敗因に挙げられてしまうのも仕方ない」

敗戦を糧に「一回りも二回りも成長してほしい」

 前半アディショナルタイムにカウンターから2失点目を喫した日本は、後半開始からDF谷口彰悟に代えてDF冨安健洋を投入。後半11分、左サイドを割ったMF伊東純也からのラストパスをFW浅野拓磨が中央で合わせようとしたところで相手選手のファウルによるPKの判定。しかし、VARの進言でオンフィールドレビューが行われ、主審はファウルなしとしてPKも取り消しになった。

 その後、日本は後半16分にMF堂安律とFW上田綺世、同29分にFW前田大然とMF旗手怜央を投入して攻撃のギアを上げ、イラクゴールに襲いかかる。後半アディショナルタイムにセットプレーからMF遠藤航がヘディング弾を決めて1点を返したが、1-2で今大会初黒星を喫した。

 鈴木にとっては2戦で計4失点と悔しい内容となっているが、栗原氏は「逆に言ったら、潜在能力を買われて今使われている。GKで飛び抜けた存在がいないなか、育てる意味では今の時期でいいのかもしれない。練習試合や所属クラブだけでは経験できない、アジアカップやワールドカップ(W杯)予選のようなガチンコ勝負を経ることで、一回りも二回りも成長できる。ここで落ち込むのではなく、これを糧にもっともっと成長してほしい」と第3戦インドネシア戦以降に向けてエールを送っていた。

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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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