久保建英が示した頂点への覚悟 葛藤を力に…アジアトップの注目「値するようなプレーを」【現地発】

日本代表の久保建英【写真:徳原隆元】
日本代表の久保建英【写真:徳原隆元】

11日の練習から全体に合流

 日本代表MF久保建英は1月11日、ドーハでアジアカップ・グループリーグ初戦に向けた全体練習に合流した。14日のベトナム戦の出場は「分からない」として回避する可能性も示唆。所属のスペイン1部レアル・ソシエダで絶対的な主力として活躍し、複雑な胸中も明かしたが、初めて臨むアジア杯で人一倍頂点への思いは強い。注目を浴びる今大会でその“価値”を示す覚悟だ。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

   ◇   ◇   ◇

「(ソシエダを離れるのは)うしろ髪(を引かれる)どころじゃないですけどね。でも、しょうがないものはしょうがないので、チームメイトを信じて。カップ戦も勝ちましたし。ダービーもあるので、ちょっと遅くなりますけど見られるならしっかり前半だけでも見て。チームを気にしないわけにはいかない。チームは気にしつつ、自分はやれることをやるべき。別に僕が1人抜けてそんなに落ちるチームじゃない。一昨年まで僕はいなかった。チームメイトの心配はしてないですね。気にはしますけど」

 ここまでリーグ戦18試合に出場して6ゴール3アシスト。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも6試合出場し、クラブ史上初の1位抜け、20季ぶりの決勝トーナメント進出に貢献した。絶対的な主力に君臨する久保だからこそ、同僚からも様々な声を掛けられたという。

「チームメイトには言われましたよ。『何で抜けるんだ』と。ケガした時に。『このケガなら休んだ方がいいんじゃないか』と冗談か、冗談じゃないのか……言われたこともありますけど。色々な思いはありますけど、プロになってからタイトルがないのも事実で、ここらで1つタイトルを取りたいとなったら優勝しかない。『離れるなら優勝してこいよ』と言ってくれた選手もいた。そういった選手の言葉もありがたく受け取りながら優勝したい」

 カタール入り後、左太ももなどの負傷で別メニュー調整が続いていたが、この日初めて全体練習に合流。初戦のベトナム戦に向けては「分からないです。そう(出場と)なると話は変わるので、無理するところなのかな?という感じです。そこはメディカルとコーチングスタッフの見極め」と、自らの口で説明し、回避する可能性を示した。その一挙手一投足が注目されるほどアジア全体から久保に視線が注がれている。今大会に参加する選手のなかでトップの市場価値6000万ユーロ(約94億円)を誇り、期待値は高い。どんなプレーを見せるのか、日本を3大会ぶり5度目の優勝に導くのか。その重圧を力に変えてきた。

「世界に注目される選手になりたいと思ってサッカーをしているので現状はウェルカム。やっとスタートラインくらい、自分の未来予想図からしたら。またいい感じに注目度を上げてチームに戻りたい」

 そう話す久保はまっすぐ前を見ていた。

「僕ら選手、監督、スタッフは優勝を期待していない。優勝しなきゃいけないと思ってやっている。僕たちは期待なんかしていても取れるものじゃないので、しっかり優勝するという目標をもってその中でチーム、結果を突き詰めていきたい。まずは自分を万全な状態に持っていって、注目されていると思うので、チームとしても個人的にも。その注目に値するようなプレーをしたい」

 様々な思いを抱えながらも、それを発信して目標を語るのはアジアで勝つことがもたらす意味を知っているから。背負うものは大きい。そんな久保だからこそ、森保ジャパンのエースとしてさらなる成長を遂げるのだろう。アジア杯でまた新たな一面を見せてくれるはずだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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