森保ジャパンは「圧倒的な優勝候補」 英記者が驚き…タイ戦の“豹変ぶり”に脱帽「精度が高まった」【コラム】

日本代表が後半の5ゴールでタイ代表に勝利【写真:徳原隆元】
日本代表が後半の5ゴールでタイ代表に勝利【写真:徳原隆元】

タイ戦の前半に停滞感も…堂安&中村投入後に攻撃の流れ一変

 森保一監督率いる日本代表は1月1日、国立競技場で行われたタイ代表との国際親善試合で、5-0で完勝した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、圧倒的な選手層を誇る日本がアジアカップの優勝候補であることを改めて指摘している。

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 メジャートーナメントに向けた強化試合というのは得てして満足のいく結果とはならないものだ。5-0で圧勝したタイ戦の前半45分間は、国立競技場に足を運んだ人もテレビで観戦した人も大半は楽しめるものではなかった。

 日本の森保一監督、タイ代表の石井正忠監督のどちらも最初からベストメンバーを起用しなかったため、なまぬるく、まとまりのない45分間を視聴者に提供することは試合前から確実だった。

 森保監督が11月のワールドカップ予選のシリア戦の勝利から9人も入れ替えたこと(ポジションを守ったのは伊東純也と鈴木彩艶のみ)は、チーム状況とタイミングを考えれば驚くことではない。

 アジアカップの開幕まで2週間を切っており、FIFAによる拘束力のない期間の試合では、招集できる選手が限られていた。

 タイ代表も重要な選手を欠いていた。負傷中のチャナティップ・ソングラシンの日本への帰還は叶わず、浦和レッズのエカニット・パンヤもコンサドーレ札幌のスパチョーク・サラチャートもスタメンではなかった。

 日本は好調だった2023年に見せていたアタッキングサードでの流暢さや、バリエーションを欠く場面が散見されていた。そのなかで、田中碧の粘り強さと佐野海舟のエネルギーは、中盤にダイナミズムをもたらしていた。

 前半に日本が苦しんでいたのはクリエイティブな部分だった。伊藤涼太郎と奥抜侃志はタイの密集した守備をこじ開ける鍵を見つけることはできなかった。2人が後半の前に交代となったことも驚きはない。

 ハーフタイムに堂安律と中村敬斗が投入されたことで、日本には活気がもたらされた。テンポが上がり、タイの守備陣をこじ開ける攻撃の精度が高まった。後半5分に堂安が田中の先制点を導いたのは驚きだった。

 選手交代でチーム全体に変化が起きたことで、事前に予想されていたゴールラッシュが実現することになった。中村は至近距離からのフィニッシュを冷静に決め、堂安のコーナーキックからユセフ・エリアス・ドラーのオウンゴールが生まれた。

 途中出場の川村拓夢は、ヘディングシュートを一度防がれたが、至近距離からもう一度頭で押し込み、代表デビュー戦でゴールを決めた。

 南野拓実はより簡単なシュートをゴール横に外すお馴染みのシュートミスがあったが、その後に5得点目となるゴールを決めた。

 この試合でのパフォーマンスは、日本が優勝候補として臨むアジアカップのメンバー選考に、わずかな影響しか与えなかった。

 先発した選手のなかで、中心的な役割を担う選手はほとんどいない。指揮官は彼のベストラインナップを熟知しており、日本が最後に参加したメジャートーナメント後の13か月間、好みのオプションを定期的にテストしてきた。

 三笘薫のアジアカップメンバー招集に関しては森保監督曰く、起用できるという見通しの下で招集している。ベトナムとの初戦で起用できるかは分からないが、それを差し引いても、ほぼフルメンバーのサムライブルーが圧倒的な優勝候補であることに変わりはないだろう。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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