森保ジャパン、アジア杯23人「ベストメンバー」大胆予想 FW陣の最適解は?…“セルティック勢”で明暗も【コラム】

【画像:FOOTBALL ZONE編集部】
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来年1月開幕のアジア杯、現時点のベストな招集メンバー23人を考察

 アジアカップは本気で優勝を獲りに行く大会になることは間違いない。第2次森保ジャパンをスタートさせた時に、森保一監督は世界一を目標に掲げた。“2050年までに世界一”というJFA(日本サッカー協会)の大目標があるなか、ここから本気で世界一を目指して、その基準を知っていく必要があること、さらに言えばドイツやスペインといった、カタール・ワールドカップ(W杯)で破った相手が毎回目指しているものであり、日本もようやくそこを目標にしても、絵空事と見られないところまで来ている手応えも含まれている。

 カタールW杯後、最初の活動となった3月シリーズこそ南米勢のウルグアイ、コロンビアに1勝1分だったが、そこからアウェーのドイツ戦を含む6つの親善試合、さらに2026年W杯2次予選のスタート2試合も制して8連勝を飾った。来年の元日にタイとの親善試合は組まれているが、本当に良い流れでアジアカップに挑むことができる。おそらく森保監督としてはここに今考えられるフルメンバーをぶつけて、3大会ぶりにアジア王者の称号を手に入れるためのベストを尽くそうとしているはずだ。

 アジア大会後は2次予選の4試合を残す。そのため、先々も考えたメンバー招集やテスト的な選手起用も盛り込んでいくのではないか。アジアカップに関しては現時点でアクシデントやチーム事情で呼べないなど、不測の事態は脇に置いてベストメンバーの選考をイメージしてみたい。

【アジアカップ23人メンバー予想】

▼GK
中村航輔(ポルティモネンセ)
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
前川黛也(ヴィッセル神戸)

▼DF
菅原由勢(AZアルクマール)
毎熊晟矢(セレッソ大阪)
板倉 滉(ボルシアMG)
冨安健洋(アーセナル)
谷口彰悟(アル・ラーヤン)
町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)
伊藤洋輝(シュツットガルト)
中山雄太(ハダースフィールド・タウン)

▼MF
遠藤 航(リバプール)
守田英正(スポルティング)
田中 碧(デュッセルドルフ)
鎌田大地(ラツィオ)
久保建英(レアル・ソシエダ)
堂安 律(フライブルク)
伊東純也(スタッド・ランス)
南野拓実(ASモナコ)
三笘 薫(ブライトン)

▼FW
浅野拓磨(ボーフム)
上田綺世(フェイエノールト)
古橋亨梧(セルティック)

 カタール後の招集、起用、活躍、ポジションのバランスなどを考えると、アジアカップに関しては、この23人がベストと考えられる。11月シリーズでは26人を招集し、怪我による不測の事態や離脱に伴い3人を追加招集したが、アジアカップは開幕してしまうと追加のエントリーはできない。そこから決勝まで7試合を戦うことを想定する必要がある。

中村敬斗は回復次第でメンバー入りも…ライバルを押しのけられるか

 そう考えた場合、例えばMF旗手怜央(セルティック)はコンディションが良好なら、23人に入ってくる資格は十二分にあるが、10月末の時点で全治2か月と報じられており、復帰戦と見込まれるのは年明けのリーグ戦となる。アジアカップ開幕は1月12日、日本の初戦は14日となるなか、おそらく元日のタイ戦の直後になるメンバー発表までに試合でチェックすることができない。そうした事情も加味して、今回はメンバー外とした。

 より難しくなってくるのが、同じく“セルティック勢”の古橋とFW前田大然だ。古橋に関しては代表活動の直前に頭部を負傷して不参加となり、代わりにFW細谷真大(柏レイソル)が追加招集された。その意味で、順調に回復すれば年内の試合で、森保監督も十分にチェックできる。その一方で前田は膝を痛めて、10月に続くメンバー外となった。セルティックのブレンダン・ロジャーズ監督は年内に復帰できることを示唆しているが、メンバー発表の時点では古橋のほうがコンディション良好の可能性が高い。

 ちなみに細谷に関してはシリア戦で代表初ゴールを決める活躍を見せたが、パリ五輪世代のエースであり、パリ五輪の予選を兼ねる来年4月のU-23アジアカップで、日本を本大会に導く大事な仕事がある。JFAではアジアカップとU-23アジアカップの両方で招集はしない見込みであるため、細谷はサブに回る可能性が高いアジアカップよりも、獅子奮迅の働きが求められるU-23アジアカップのほうを優先するのではないか。

 怪我という点で言えば、9月、10月のシリーズで合わせて4得点を叩き出したFW中村敬斗(スタッド・ランス)の回復も気になるところ。彼の状態とアピール次第ではアジアカップで代表復帰となる期待もあるが、シリア戦でFW浅野拓磨(ボーフム)がこのポジションの起用に目処が立っていること、この23人であれば右サイドがMF伊東純也(スタッド・ランス)、MF堂安律(フライブルク)に加えて、MF久保建英(レアル・ソシエダ)や右サイドバックのDF菅原由勢(AZ)とDF毎熊晟矢(セレッソ大阪)も前に上げられる。

 そのことから、試合や状況によっては伊東を左に回すオプションも活用できる。また11月シリーズでは使われなかったが、MF南野拓実(ASモナコ)の左サイド起用も森保監督は具体的に選択肢として挙げていた。もちろん中村やMF相馬勇紀(カーザ・ピア)のようなスペシャリストを加えたいが、23人となるとどこかしらポリバレントが求められる。コンディションに問題がない限り、MF三笘薫(ブライトン)という傑出した主力がいるので、左サイドの2、3枚目は浅野、伊東、南野というポリバレントに頼ることになるのではないか。

中山、谷口ら、最終ライン&中盤を担える万能戦士は貴重な存在に

 中盤は4-2-3-1と4-3-3(4-1-4-1)を試合や状況に応じて可変できることを前提に組むなかで、MF遠藤航(リバプール)、MF守田英正(スポルティング)、MF田中碧(デュッセルドルフ)の3人は4-2-3-1であれば2ボランチ、4-3-3(4-1-4-1)であればアンカーとインサイドハーフを担う。久保と南野は4-2-3-1ならトップ下、4-3-3(4-1-4-1)ならインサイドハーフとなるが、どちらにしても“10番”的な役割がメインになる。

 鎌田大地(ラツィオ)は中盤のポリバレントとして、最も多様な役割が求められることになるかもしれない。ただ、7試合となるとポリバレントの鎌田を含む4人でボランチをカバーするのはリスクがある。そのため左サイドバックのDF中山雄太(ハダースフィールド・タウン)やセンターバックのDF谷口彰悟(アル・ラーヤン)が有事のボランチとして備えることになるはずだ。

 そのほかの候補としては11月シリーズで、残念ながら怪我で不参加となったMF川辺駿(スタンダール・リエージュ)とMF伊藤敦樹(浦和レッズ)、追加招集でミャンマー戦にも出場したMF佐野海舟(鹿島アントラーズ)などはコンディションや今後のアピール、また主力組が何かの理由で参加できない場合など、割り込んで来る余地はあるが、現在のベストという基準では“次点”とせざるを得なかった。ただ、佐野などは元日の代表戦が滑り込みのアピールチャンスになるかもしれない。

 最終ラインは菅原と毎熊が右サイドバック、DF板倉滉(ボルシアMG)、谷口、DF冨安健洋(アーセナル)、DF町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)の4人がセンターバック、伊藤洋輝(シュツットガルト)と中山が左サイドバックだが、冨安と町田はサイドバック、伊藤洋はセンターバックで起用することもできる。また3バックなら谷口がリベロとしてファーストチョイスになるだろう。

 ここから誰かが外れることがあれば、新たに加わるのは11月の活動で追加招集されたDF渡辺剛(ヘント)が最有力か。11月のメンバー発表前に負傷したDF橋岡大樹(シント=トロイデン)も回復が順調であれば右サイドバックをメインに、ディフェンスラインのポリバレントとして選ばれる可能性はあるが、菅原や毎熊を上回るアピールをするには復帰後の時間が足りないのではないか。

 仮に左で伊藤か中山が招集不可能となった場合、6月と9月の活動に参加したDF森下龍矢(名古屋グランパス)も選択肢になってくるが、国内組はJリーグが閉幕して1か月後がアジアカップ開幕となるので、少なくとも元日のタイ戦に呼ばれるメンバーから出ないと、サプライズ招集されても短期間でコンディションを作るのは難しい。

 海外組のうちプレミア勢の遠藤、冨安、三笘やラ・リーガの久保などは元日の試合に参加できないので、半数ぐらいはアジアカップと異なるメンバーになると予想されるが、タイ戦に出る選手はアジアカップの23人に選ばれていなくても、バックアップメンバーのような存在になってくるはずだ。

 最後にGKに関しては、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、GK前川黛也(ヴィッセル神戸)にようやく怪我から復帰してきたGK中村航輔(ポルティモネンセ)を加えた3人を選んだ。現時点の評価はシリア戦に起用された鈴木が一歩出ているかもしれないが、パリ五輪を目指すU-23アジアカップで本大会を勝ち取る価値は今後を考えても大きい。ただ、どちらの大会も国際Aマッチデーから外れるなかで、所属クラブのシント=トロイデンが1月なら出せても、シーズン終盤となる4月で、しかもU-23だと出せないとした場合はアジアカップのメンバーに入る余地はある。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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