厳格なイスラム教国家サウジアラビア、女性1人で現地へ―クラブW杯やアジア杯、W杯はどうなる?【現地発】

日本対シリアの会場となったプリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアム【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
日本対シリアの会場となったプリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアム【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

日本代表がシリア戦に臨む地

 森保一監督率いる日本代表は11月の北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選でミャンマー、シリアと対戦し、2連勝を飾った。シリア戦においては、敵地の情勢不安から中立地であるサウジアラビア・ジッダで開催。これからクラブW杯、2027年アジアカップ、そして2034年W杯の開催が実質決定となっているサウジアラビアだが、厳格なイスラム教の国の現状は――。実際の取材を振り返る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 第2の都市ジッダにある試合会場となったプリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアム。芝の状況は「見てもらったら分かる通り綺麗」と伊藤洋輝が話すなど、“アウェーの洗礼”はなかった。試合後、JFAの田嶋幸三会長も「新しくてキレイなスタジアムだった」と満足感を示した。

 2018年、女性のスタジアム観戦が解禁された。厳格なイスラム教国家のサウジアラビアは、女性のスポーツ観戦が禁止されていた。現在、会場はまだまだほとんどが男性だったが、女性の清掃員が働いていたり、レポーターがいたり、私自身もなんの違和感を持つこともなく、試合に集中して取材に全うすることができた。

 同年には女性の運転も解禁。私たちが移動で利用したタクシーの運転手が女性だったこともあった。女性がタクシー運転手として働く姿に、本当にサウジアラビアは変わったのだと実感させられた。

 そして2019年、観光ビザが解禁された。これを機に外国人女性は「アバヤ」という身体を覆う黒い布の着用義務化がなくなった。もちろん過度な露出は控えなければならないが、女性ひとりでも問題なく入国できた。ジッダのキング・アブドゥルアズィーズ国際空港ですでに外国人はいわゆる「Tシャツにデニム」という格好でも問題ない。私自身は長袖のストンとしたワンピースを着ていたが、それほど強い制限はなかった。もちろん、肩や膝を出すことは避けなければならないが……。

 なかでも驚きだったのはスムーズな税関審査。とにかく広く、欧州に比べると本当にすぐに入国できた。

 寺院など厳格な場所では頭を隠さなければいけないものの、普段、常識的に過ごしていれば特に大きな注意を受けることもなかった。ほかのイスラム教国、中東ではカタールやUAEなどと比べても、外国人にとっての過ごしやすさはあまり変わらないだろう。それは女性であっても同じように感じられた。

 もっとも、フレンドリーな人が多く日本人には興味もありつつ、優しく接してくれた人が多かった。今後、クラブW杯やアジア杯、W杯に向けて、交通面も整備されていけばどんどん便利になるのではないか。その土地の文化に触れるということは大事なこと。そのなかでサウジアラビアという土地はまた新たな経験を積んでくれた。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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