浦和スコルジャ監督が敷いた交代策 試合を変えたFWの存在「レッズの将来を担うことができる選手になれる」

浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】
浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】

交代で入ったFW髙橋の働きが柏を苦しめた

 浦和レッズは10月20日のJ1リーグ第30節で柏レイソルと対戦し、2-0の勝利を収めた。前半に負傷者が出るアクシデントと機能性の低い状態にマチェイ・スコルジャ監督は苦慮しつつも、選手交代を交えて打開した。

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 浦和は負傷者が続出している状態にあり、この試合でも復帰が期待されたMF中島翔哉やDF明本孝浩、MF早川隼平、MFアレックス・シャルクやMF安部裕葵といった選手たちが欠場。さらにFWホセ・カンテが出場停止だった。さらに前半3分にはこの試合のキーマンとしてトップ下に配置したMF関根貴大が相手選手との接触で負傷し、交代を余儀なくされた。

 スコルジャ監督は「狙いは立ち上がりからできるだけ高い強度で攻撃的にいくことだった。しかしその狙い通りにはいかなかった。それは認めざるを得ません。前半は相手が非常にまとまっていて、我々のやりたいことができなかった。そして相手に決定機も作られてしまった。今日の戦術で重要だった関根貴大が早い時間帯に離脱してしまい、彼なしで少し難しくなった部分もあった」と、率直に不具合があったと話した。

 関根のポジションは、サイドハーフでスタメン出場していたMF小泉佳穂を回すことも、ベンチからMF安居海渡を出場させることもできた。しかし、指揮官の決断はFW髙橋利樹を送り込み、最前線に入ったFW興梠慎三と縦関係を作ることだった。しかし、ビルドアップの機能性も上がらずに小泉を中央に回す配置転換も余儀なくされた。最終的には、ハーフタイムに興梠と安居を交代させ、髙橋の1トップでトップ下に安居と配置を切り替える決断に至った。その狙いは「より高い強度のハイプレスをかけようというもの」だったという。

 実際に、後半に入ると浦和のリズムは好転した。小泉は「後半、安居が入ってきてくれて、自分と近いポジションでお互い前後左右でスペースを見つけながら、良い関係を築きながら相手を揺さぶれたのが、ギャップを生む要因になった。安居が低い位置でボールを受けてくれることが多かったので、合わせて高い位置でボールを受けられた」と話す。その結果、小泉は1ゴール、1アシストとゴール前に入り込むことで結果を残した。先制点の場面は、安居が背後に飛び出したことで生まれたシーンだった。

 また、安居が投入されたことで前半と比較すれば明らかにサイドチェンジが増えた。大きなボールで飛ばすだけでなく、センターバックやサイドバックからボランチを経由して逆サイドに持っていくようなプレーも増え、柏の守備陣からサイドに追い込まれるような場面は減った。指揮官もまた、「後半に入ってからはより速いプレーを心掛けて、サイドチェンジを多用しながら裏のスペースを突いていった」と話したように、交代の意図がピッチ上に現れる試合になった。

 こうした配置展開に対応した髙橋について「利樹は練習でも非常にハードワークを見せる選手だったので、FWではなくウイングという別のポジションでチャンスを与えた。ゲームをこなすごとに、ウイングとしても成長している。今、利樹がやっているように、複数のポジションでプレーできる選手は好きだ。彼は大きなハートを持っている非常に勇敢な、相手のセンターバックに対して戦いを挑める選手。非常に大きく成長しているので、一緒に仕事ができて嬉しい。浦和レッズの将来を担うことができる選手になれると思う」と話す。今季に向けロアッソ熊本から移籍加入し夏以降で出場機会を増やしている髙橋は、前線で身体を張って戦う姿が目立った。

 今季の浦和は柏と並ぶJ1最多タイの「11」引き分けで、前半のスコアレスはその記憶もよぎるものだった。しかし、戦況を改善する修正が機能したことで後半に2ゴール。スコルジャ監督の打開策と、それに応えた選手たちによって貴重な勝ち点3を手に入れた。

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