日本代表「海外組主力招集」の是非 W杯予選へOB持論「ベストメンバーを招集する必要はない」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】「日程的に負担が少ない人を優先的に選ぶのもいい」と提言
森保一監督率いる日本代表は、10月13日にカナダ代表(4-1)、17日にチュニジア代表(2-0)と戦い、2連勝で10月シリーズを終えた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、11月の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選に向けて、「ベストメンバーを招集する必要はないと思っている」と持論を展開した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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W杯アジア2次予選が11月からスタートし、森保ジャパンは同16日に第1節ミャンマー戦(ホーム/パナソニックスタジアム吹田)、同21日に第2節シリア戦(アウェー/未定)を控える。
金田氏は「シリア戦のアウェー開催地がまだ決まってない。日本サッカー協会(JFA)も調整を急ぎたいと思っているだろうが、こればっかりは国際サッカー連盟(FIFA)やアジアサッカー連盟(AFC)が動かないと、どうしようもない状況。それに加えて、11月の予選では選手の招集問題が依然として残っている」と語る。
「10月の2試合を終えて海外組がまた所属クラブに戻り、11月に再びベストメンバーを招集すべきかどうかが問題だ。長距離移動や時差ボケもあるなか、海外チームで結果出さなきゃいけない立場の選手たちばかり。代表だけでなくクラブでも、選手たちは日本人として、日本を背負ってプレーしている。そんな海外組の招集に関して言えば、新たなフェーズに入ったと思う」
日本代表戦による長距離移動などで、選手には大きな負担がかかる。そこで金田氏は「例えばだが、代表戦の前に1週間に2試合を戦っている選手はできるだけ回避するのも一案だ。日の丸を背負う喜び、 使命感、達成感は大きいと思うが、一方で日本代表の活動で無理して調子を崩してしまうのは避けたい。海外組の主力でも、日程的に負担が少ない人たちを優先的に選ぶのもいいかもしれない。いずれにせよ、11月の予選でベストメンバーを招集する必要はないと思っている」と持論を展開した。
11月は「海外組のベストメンバーを揃えなくても勝てる確率はかなり高い」
スペイン1部レアル・ソシエダでフル稼働するMF久保建英は、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)も含めて過酷な日程をこなすなか、連戦でのコンディション調整が「正直きつい」と10月の代表活動中に明かしていた。
金田氏は「呼ぶ・呼ばないの最終判断は森保監督が決めること。選手と話し合って両者が納得できる答えを出せばいいし、呼ばない判断というのも、今後も指揮官の大きな仕事の1つになりそうだ。それだけ選手層が充実しているという意味でもあり、嬉しい悲鳴でもある」と続け、指揮官の胸中もおもんぱかる。
「海外組に関しては、毎回ベストメンバー招集ではなく負担の少ない人を優先的に招集し、そこに新戦力なども加えながらチーム全体の底上げを図っていくのが理想論だろう。あとは試合の性質や場所、対戦相手のレベルによっても大きく変わってくる。11月のW杯2次予選は、現実的に負けられない戦いであり、勝たなければいけない。とはいえ、相手を甘く見ているわけではないが、海外組のベストメンバーを揃えなくても勝てる確率はかなり高い。確率論の話になってしまうが、どこまで招集するかのバランスは悩ましいところだろう」
これまでの招集傾向を踏まえれば、怪我人や体調不良を除いて海外組のベストメンバーを招集する可能性が高いと言えるが、次回のメンバー発表に注目が集まりそうだ。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。