三笘&久保が不在でゴールラッシュ 5試合連続4得点以上の森保ジャパンはなぜ圧倒的な攻撃力を誇るのか?【コラム】

層の厚さを見せた森保ジャパン【写真:徳原隆元】
層の厚さを見せた森保ジャパン【写真:徳原隆元】

6月シリーズから5試合連続で4ゴール以上をマーク

 森保一監督率いる日本代表は10月13日、デンカビッグスワンスタジアムで国際親善試合カナダ代表と対戦し、4-1で勝利した。今回、MF三笘薫は体調不良で不参加、連戦で疲労も溜まっているMF久保建英は不出場。2人のエースを欠きながらも4ゴールを奪った。6月から5試合連続で4得点以上を記録しており、森保ジャパンの層の厚さを見せた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 チームの底上げが感じられる一戦だった。前半開始早々にインサイドハーフ起用されたMF田中碧が先制点をマーク。オウンゴールもあり、前半42分には森保監督から三笘の代役に名指しされていたMF中村敬斗も技あり弾を決めた。前半を3-0でリードすると、後半4分には再び田中。終盤に失点したものの、着実にゴールを重ねて4得点のゴールラッシュだった。

 この日、久保はベンチから見守り、アップもせず。完全に“お休み”モードだった。合流の早かった伊東が右ウイングでフル出場を果たし、久保は次戦に備えた。さらに、10月シリーズの活動を辞退した三笘も不在。そのなかでも、森保ジャパンの層の厚さが際立った。

 これで6月シリーズのエルサルバドル戦(6-0)、ペルー戦(4-1)、9月のドイツ戦(4-1)、トルコ戦(4-2)に続いて5試合連続で4ゴール以上。まず1つ、右ウイングは伊東と久保がポジションを争うほどで、ほかのポジションもサブ組の活躍が目覚ましい。今回、左ウイングを務めた中村は国際Aマッチ4試合出場で4得点。1トップもFW浅野拓磨が自身の役割をきっちり果たして、FW上田綺世やFW古橋亨梧との競争も依然激しいままだ。

 攻撃陣に自信がついたことはもちろんだが、森保監督が「いい守備からいい攻撃」と言い続けているようにまずは守備の意識が高い。9月にDF冨安健洋が復帰し、DF板倉滉と双璧を形成したのはもちろん、DF谷口彰悟やカナダ戦で先発したDF町田浩樹も出場2戦目で落ち着き払っていた。森保監督は「コーチ陣が、アグレッシブにゴールに向かう部分、縦に、前に向かっていくという働きかけと、攻撃だけでなく守備で非常にアグレッシブにチャレンジする部分を選手に植え付けてくれた。かつ、試合の中で、システムの噛み合わせも、選手が思い切って前向きに力を発揮できるように、戦術的にも、個々の役割を伝えてくれていることが大きい」とゴールラッシュが続く理由を分析した。

 システムの噛み合わせの部分。例えば、9月のドイツ戦では後半から3バックに変更。これも、冨安が発案して森保監督が決断した。今回も4-1-4-1でスタートしつつ、途中でダブルボランチに変更。これも試合の中で選手が自発的に切り替えており、前半21分に相手に与えたPKのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で確認中にコーチ陣と意見を擦り合わせ、4-2-3-1に変更することを伝えた。ミスマッチの中で主導権を握る戦いを選手が自ら発言していた。

 サブ組の奮起、そして招集メンバーにコンセプトが統一されているからこそ、今回カタール・ワールドカップ(W杯)以来の招集となったMF南野拓実も戦い方が変わってきているなかで柔軟に対応できた。10月シリーズは大幅なメンバー変更を求める声もあったが、基本的なメンバーが変わっていないからこそできる戦い方。それが、ゴールラッシュが続く理由と言えるだろう。

 17日のチュニジア戦も戦術が整理されている日本代表が見られるはずだ。

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