久保建英が活躍も…後半に失速するソシエダの問題点 スペイン人記者が指摘「無理がたたり、つけが回ってくる」【現地発】

レアル・ソシエダの問題点とは?【写真:Getty Images】
レアル・ソシエダの問題点とは?【写真:Getty Images】

久保が開幕から輝きを放つ一方、後半から失速するソシエダの問題点を露呈

 10季ぶりにUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に復帰したレアル・ソシエダだったが、グループリーグ初戦のインテル戦(1-1)でリード後に失点するという、今季抱える大きな問題をまたもや露呈した。

 ソシエダでは今季、久保建英がシーズン開幕から4試合連続でMVPに輝き、“ラ・リーガ最高の選手の1人”と言われるほどの素晴らしいパフォーマンスを発揮している。その一方で、ここまで(9月23日時点)のチーム成績は公式戦6試合1勝4分1敗と思うような結果を得られていない。その原因は一体どこにあるのだろうか。

 ダビド・シルバを失ったチームは今季、前線からのハイプレスを武器に、無得点に終わったラ・リーガ第3節ラス・パルマス戦以外、すべての試合で先制点を奪っている。さらに第1節ジローナ戦(前半5分:久保建英)、第2節セルタ戦(前半22分:アンデル・バレネチェア)、第4節グラナダ戦(前半9分:久保)、第5節レアル・マドリード戦(前半5分:バレネチェア)、そしてCLインテル戦(前半4分:ブライス・メンデス)と、5試合のうち4試合で開始早々にゴールを決めている。

 しかし先制後、そのアドバンテージを上手く生かせておらず、白星は5-3で勝利したグラナダ戦のみ。そのほかの4試合はリードを守り切れず、最終的に引き分け以下の結果で終わっている。また、これまでに計8失点を喫しているが、そのうち7失点は後半に入ってからだった。

 また久保に目を向けると、公式戦全6試合に先発し、交代した5試合は全て後半30分前後にピッチを去っている。チームはその後に4失点し、それによって勝ち点を落とした試合が2回あった。久保交代が大きく影響していると一概には言えないが、終盤にチーム力が落ちているのは明らかだ。

 このような状況を受け、インテル戦を実況したスペインのラジオ局「カデナ・コペ」のマルコ・アントニオ・サンデ記者に「レアル・ソシエダの失点がなぜ後半に多いのか?」という質問をぶつけると、次のような答えが返ってきた。

「その原因としてまず、キックオフ直後からあまりにもハイペースで試合を進めていることが挙げられるだろう。今のラ・レアルのペースはすさまじいものがある。私はどんなチームであっても、最後まであの形で戦い抜くのは不可能だと思っている。当然のことながら無理がたたり、時間の経過とともにチーム全体が調子を崩していき、高いインテンシティーを維持できなくなっている。その結果、後半に入ると著しくペースダウンし、そのつけが回ってくるのだと思う」と分析した。

 例えばインテル戦はキックオフ直後のハイプレスが実を結び先制点を生み出したが、序盤に飛ばし過ぎた影響もあり、後半に入り息切れを感じさせていた。

久保建英について語ったスペインラジオ局「カデナ・コペ」のマルコ・アントニオ・サンデ記者【写真:高橋智行】
久保建英について語ったスペインラジオ局「カデナ・コペ」のマルコ・アントニオ・サンデ記者【写真:高橋智行】

指揮官が久保ら特定の選手たちを信頼、「来るべき事態」への対策が不可欠に

 またサンデ記者は、控え選手の出場が後半に入り失速する原因の1つとも考えている。

「チーム構成がまだあまり上手くいっていないように感じられるし、途中出場の選手たちがスタメン組と同じレベルに達していないように思える。そのためイマノル(アルグアシル)は練習でその点を改善すべく、重点的に取り組まなければいけないし、後半からピッチに入る選手たちが上手く機能するチームに早く仕上げる必要がある」と、レギュラーと控え選手の間に大きな実力差があることを指摘した。

 アルグアシル監督は現在、特定の選手たちに全幅の信頼を寄せている。それは最近のスタメンを見れば明らかだ。ラ・レアル指揮官は初勝利を収めたグラナダ戦、そしてマドリード戦、インテル戦とここ3試合続けて、GK=アレックス・レミーロ、DF=アマリ・トラオレ、イゴール・スベルディア、ロビン・ル・ノルマン、キーラン・ティアニー、MF=ブライス・メンデス、マルティン・スビメンディ、ミケル・メリーノ、FW=久保、ミケル・オヤルサバル、バレネチェアの11人を先発起用している。

 しかしシーズンが進むにつれて日程がよりタイトになっていくため、ずっと同じスタメンで戦うことなど不可能で、今後、久保ら主力選手に欠場者が出てくるのは間違いない。アルグアシル監督はその来るべき事態に備えて、レギュラー組のバックアップを問題なく務められるように控え選手に多くのチャンスを与え、全体的なレベルの底上げを図る必要があるだろう。それが現在抱える問題を解決する鍵にもなるはずだ。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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