森保ジャパンの“新戦力発掘”に驚き 英記者が指摘「欧州勢に連勝をルーティーンにした」【コラム】

日本は欧州遠征2連勝【写真:Getty Images】
日本は欧州遠征2連勝【写真:Getty Images】

【識者の目】トルコ戦で4-2の勝利、大幅変更したメンバーでの勝利に賛辞

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は9月12日に行われたキリンチャレンジカップで、トルコ代表(同41位)と対戦し4-2の勝利を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、昨年のカタール大会でワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、大幅変更したメンバーでの勝利に賛辞を贈っている。

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 おなじみのパターン、おなじみの結果だった。トルコは後半にわずかな希望を見出したにもかかわらず、森保一監督率いる2軍チームはハンドブレーキを外したままプレーし、ステファン・クンツ監督率いるチームを打ち破った。

 この試合は先発メンバーも、試合の後半に投入された選手もどちらも称賛すべき点が多かった。欧州勢に連勝するのはアジアの国にとって珍しいことだが、日本はそれをルーティーンにした。

 インターナショナルマッチウィークの2試合目に先発メンバーを大幅に変更するのは森保監督がよくやる手法だ。快勝したドイツ戦から残ったのは左サイドバックの伊藤洋輝だけだった。

 毎熊晟矢と町田浩樹の2人はサムライブルーデビューを飾り、伊藤敦樹と中村敬斗はこれが代表初スタメンだった。全体的に経験の浅い選手たちが並ぶラインナップだった。

 しかし、そんな彼らが代表の基準を満たしていないということはなかった。なかでも伊藤と中村はアタッキングサードで印象的だった。

 特に伊藤の先制点は見事だった。この浦和レッズのMFはペナルティーエリアの端で堂安律からリターンパスを受け、完璧な角度でトップコーナーにシュートを突き刺した。

 中村も相手のペナルティーエリアで輝きを放った。久保建英のシュートがGKウールジャン・チャクルに弾かれたところに素晴らしいリアクションを見せ、ボールをゴールへと押し込んだ。

 そして、彼の2点目も印象的だった。リトリートするDFラインの背後を取る能力によって、毎熊からのクロスに合わせるための時間とスペースを手にした。

 わずか36分で3点のリードを奪ったことで、日本にとって簡単すぎる自己満足な試合になる危険性があった。しかし、トルコファンが代表チームのパフォーマンスへの不満を示すと、すぐにリアクションが見られた。

 トルコは前半終了間際にメルト・ミュルドゥルのヘディングシュートを中村航輔が弾いたところをオザン・カバクが押し込み、反撃の狼煙を上げた。

 日本は後半早々に久保のシュートがポストを叩き、古橋亨梧もチャンスを不意にした。その後、後半16分にベルトゥ・イルディリムのゴールでトルコが点差を縮めた。

 森保ジャパンでまだリズムを掴めていない古橋にとって、またもフラストレーションがたまる1日だった。セルティクのストライカーは後半13分、途中出場の前田大然のパスからゴールを狙うも、ポストに嫌われた。

 一方で、伊東純也にはそのような問題はなかった。途中出場で古巣ヘンクのピッチに戻ってきた伊東はその電光石火のスピードを存分に発揮した。このウインガーは好みが分かれる選手だが、対峙するDFにとって嫌な選手であることは間違いないだろう。

 彼は直線的なドリブルで突破し、イスマイル・ユクセキに倒されてPKを獲得。それを自ら成功させ、トルコの反撃の望みを断った。森保監督率いる日本は印象的な1週間の仕事に満足してヨーロッパを後にした。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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