久保建英、開幕戦弾のリアル評価は? ソシエダ番記者が賛辞「タケが攻撃の中心選手だったのは間違いない」【現地発】
ホームのジローナ戦で久保が2年連続開幕弾、チーム最多3本のシュートを記録
レアル・ソシエダMF久保建英は2年連続となる開幕弾を記録し、スペイン5季目を順調にスタートさせた。
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昨季のラ・リーガを4位で終え、10季ぶりにUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に出場するソシエダは8月12日、今季初戦でジローナをホームに迎えた。この日はスペインがまだ夏休み期間中のため、ところどころ空席が目立ったものの、シーズン開幕を心待ちにしていたサポーターたちが、新ユニフォームを着てスタジアムに集まった。
大黒柱のダビド・シルバ引退や昨季のチーム得点王アレクサンデル・セルロート退団により大きな問題を抱えるソシエダは今季ここまで2人を補強。そのうちポルトガル代表FWアンドレ・シルバが負傷中のため、マリ代表DFアマリ・トラオレのみ、イマノル・アルグアシル監督の開幕戦スタメンに名を連ねた。
久保は4-3-3の右ウイングで先発出場し、立ち上がりから素晴らしい動きを見せた。前半5分、アイエン・ムニョスが左サイドから入れたグラウンダーのクロスに反応してゴール前に走り込み、フリーの状態から左足ダイレクトで合わせ、開始早々チームに先制点をもたらした。
その後、時間の経過とともにチームが受け身に回り、ジローナにボールを持たれたことで、攻撃を仕掛ける頻度は多くなかったものの、久保は積極的にゴールを狙う姿勢を見せてさらに2本のシュートを放ち、チーム最多3本のシュートを記録。そして失点直後の後半29分にモハメド=アリ・チョーとの交代でピッチを去った。
スペインメディアの久保評はさまざま「最も突破力に優れた選手」「昨季終盤ほど…」
最終的に1-1の引き分けに終わったことで、久保はソシエダ加入後10試合目にして初めて、得点した試合で勝つことができなかったが、この日のマン・オブ・ザ・マッチに見事選出されていた。
しかしこの一戦、久保に対するスペインメディアの評価は分かれる結果となった。クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「ピッチで最も突破力に優れた選手だった。GKの逆を突く知性あふれるゴールを決め、中への走りで多くのチャンスを生み出し、何度もシュートをトライした。またチームがカウンターを仕掛けられるようにボールを奪った」と高評価し、4点(最高5点)をつけた。
一方、もう1つのクラブの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は、「アイエン・ムニョスからの素晴らしいパスを上手く生かして得点を挙げた。チームで最も危険な存在となり、プレーに関与した時は常に何かが起こる印象を与えていたが、昨季終盤ほどの違いを生み出すことはできなかった。またフェイントで次々と相手をかわしたプレーから2点目を決められなかったのは残念だった」と評し6点(最高10点)とした。
そして全国紙の「マルカ」紙が2点(最高3点)をつけた一方、「AS」紙は1点(最高3点)と評価が分かれている。
ソシエダ番記者が指摘「ゴールを決めて出だしは非常に良かったが…」
またジローナ戦終了直後、「AS」紙やスペインのラジオ局「カデナ・セル」でレアル・ソシエダの番記者を務めるロベルト・ラマホ氏が、この日の久保を次のように分析してくれた。
「ゴールを決めて出だしは非常に良かったが、徐々に調子を落としていった。シーズンが開幕したばかりで、まだコンディションが整っていないように感じたよ。というのも、タケはチームメイトよりもプレシーズンのスタートが遅かったからね」と、昨季の素晴らしいパフォーマンスにより期待値が上がっているからか、まだ本調子ではないとの見解を示した。
しかし、「それでもタケが今日、ラ・レアルの攻撃における中心選手だったのは間違いない。チーム唯一の得点者となり、さらに枠を捉えられなかった惜しいチャンスもあった。彼は昨季を終えた時のように、ラ・レアルにとって重要な選手して新たなシーズンを開始したと思っている」と活躍ぶりを認めていた。
今季はCLに初参加することで対戦相手のレベルが上がり、昨季の優れたパフォーマンスにより、対峙するDF陣の警戒心が高まるのは間違いないだろう。その難しい状況のなか、久保がさらなる成長を遂げて、ジローナ戦後に明かした「昨季は9点に終わってしまったので、とりあえず二桁得点は取りたい」という自身の掲げる目標をクリアできることを楽しみに待ちたいと思う。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。