森保監督、6月シリーズでの収穫は? 数多くの「テスト」で見えた“第2次政権”コンセプトの浸透

森保ジャパンの収穫は?【写真:高橋 学】
森保ジャパンの収穫は?【写真:高橋 学】

2連戦でシステムは4-1-4-1を採用

 第2次森保ジャパンは、エルサルバドル代表、ペルー代表と対戦した6月シリーズで2連勝を飾った。森保一監督は6月シリーズで4-1-4-1のシステムをテスト。代表復帰したFW古橋亨梧(セルティック)を1トップで先発出場させたり、インサイドハーフでMF旗手怜央(セルティック)やMF鎌田大地(フランクフルト)、MF堂安律(フライブルク)らを起用した。オプションとして、MF相馬勇紀(カーザ・ピア)の右サイドバック(SB)を試すなど、今回で多くのテストを行い、収穫もあった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 6月シリーズの2連戦、まずは練習から意識づけたのは「縦」、ゴールへ向かう姿勢だった。縦へ早くのイメージは紅白戦だったり、試合の中でも見られた。そのうえで試したのが4-1-4-1のシステム。MF守田英正(スポルティング)、MF遠藤航(シュツットガルト)をアンカーに位置させ、旗手や堂安、鎌田らをインサイドハーフとしてウイングやSBと連係させて厚みのある攻撃を目指した。

 指揮官も「3月の活動からチームとしての課題が出たなか、どう6月に修正して戦うかということを選手、スタッフ1人ずつ、何ができるか考え、チームとして課題に取り組み、やるべきコンセプトを共有して戦えたことが、修正という部分では良かった」と、手応えを得た。

 そのなかで今回、相馬を紅白戦から右SBで試し、実際に試合でもエルサルバドル戦の後半頭、ペルー戦の途中から起用した。クラブではシャドーやウイングバックを務めることが多い相馬だが、指揮官は「対人の強さを持っているところと、そこから攻撃に出て行く推進力を持っているところで、起用した。普段SBをやっているわけではないが、彼の可能性としてはSB、ウイングバック、そしてウイングとして能力を持っていると思う。複数ポジションで能力を発揮することを期待している」と、ポリバレントな選手としての活躍を願った。

 一方で課題が残ったのは代表復帰した古橋だろう。エルサルバドル戦では途中出場で「消える動き」からゴールを奪ったものの、ペルー戦では決定機を決め切ることができなかった。森保監督としては、期待していただけに結果で示せなかったのは物足りなかったと思う。

 また、ペルー戦の途中では2ボランチに変更した。これは「4-1-4-1から4-2-3-1という部分ではポジション変更の指示はしていない。相手の変化に対応するなかで自然とシステムの変更が見えたということ。ベンチからの指示ではなく、選手たちの判断でやってもらった」と、森保監督が第1次政権から追い求めてきた選手の主体性から出たもの。長年チームに落とし込んできたコンセプトはしっかりと浸透していた。

 指揮官からすると、多くのテストを行うなかで、ほとんどが好パフォーマンスで応えてくれた。9月には強豪ドイツと再戦するが、対戦までの3か月間の準備期間で嬉しい悲鳴をあげることができるのではないか。このテストを無駄にしないように、9月でのさらなる上積みが期待される。

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