ザックジャパンの主力DF候補 森重真人が飛躍のために決別したもう一人の自分とは

苦い記憶として残る4つの「×」


  後に当時をそう振り返った城福は、自らの責を懸けて残り予算のほとんどを森重一人の獲得資金に投じた。自身のサッカー哲学をピッチに投影するには、彼が必要不可欠なピースだと考えたからだった。
  そうした背景も、人一倍、感じ取っていたのだろう。森重本人も強い覚悟を持って東京へと移籍してきた。   だが、彼は1年後、か細い声で「申し訳ない」と吐き出し、言葉を詰まらせることになる。そうさせたのは、苦い記憶として残る4つの「×」だった。
  その年、リーグ戦30試合に出場し、DFながら3得点を記録している。未出場は4試合しかないが、そのわずか「4」が森重の胸を締め付ける理由だった。選手出場記録が、彼の思いを代弁する。未出場試合にすべて出場停止を意味する「×」マークが記されてあるからだ。決まってその試合の前には、警告を意味する「C」が付いていた。
  2010シーズンの森重は、J1リーグ第2節の浦和戦で、2度の警告を受けて退場。第19節C大阪戦でも再びピッチを去り、2試合出場停止となる。リーグ終盤の第30節横浜Fマリノス戦には、累積で出場することさえできなかった。攻撃ではクレバーなプレーを見せる一方、守備では別の顔をのぞかせた。余計なファウルを重ね、試合途中にゲームの外へと追いやられる。それを何度も繰り返した。  

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