浦和、アジア王者へ強敵アル・ヒラルを倒す戦い方は? 求められる柔軟な攻守のバランス

埼スタでの第2戦を控える浦和【写真:ロイター】
埼スタでの第2戦を控える浦和【写真:ロイター】

6日にサウジアラビアの強豪アル・ヒラルとホームで決勝を戦う

 浦和レッズは5月6日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝の第2戦で、アル・ヒラル(サウジアラビア)と戦う。アジア王者を目指す一戦だが、マチェイ・スコルジャ監督が指揮するチームは勝利でその座をつかむことに集中している。

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 第1戦はアウェーで現地時間4月29日に戦った。前半15分ほどは完全に押し込まれる状態で先制点まで奪われた。しかし、次第に戦況を回復した浦和は後半にFW興梠慎三が同点ゴールを奪って1-1の引き分けに持ち込んだ。このアウェーゴールにより、浦和が第2戦で優勝を決める条件は勝利あるいは0-0での引き分け。1-1で90分間を終えれば延長戦、その先のPK戦までの可能性があり、浦和の敗戦や2-2以上のスコアでの引き分けはアル・ヒラルの優勝となる。両者は決勝で2017年、19年に続く3回目の顔合わせで、17年は浦和、19年はアル・ヒラルが制した。

 言い方を変えれば無失点で終えれば優勝というゲームだが、それを頭の中を支配して守備的にプレーエリアを下げすぎれば危険な事態になるだろう。それは初戦の立ち上がり15分が証明していると言え、守備ブロックが下がりすぎた浦和はカウンターを狙うにも相手ゴールまでの距離がありすぎる状態になり、マイボールをつないで前進しようにも相手が自陣に入り込みすぎていることから厳しいプレスを受けた。その結果は、苦し紛れのクリアを拾われて波状攻撃を受けること。確かに失点場面はミスが絡んだが、それがなくとも90分間を守り切る可能性はかなり低かっただろう。戦況を立て直してからの時間帯では渡り合える部分が大きかったように、浦和は勇気を持ってゾーンを押し上げなければならないと言える。

 スコルジャ監督は今季から指揮を執るが、就任初日から昨季のうちに決勝進出を決めていたこのタイトルが常に頭にあったと話している。チーム内外に決勝戦を見据えてメンバーを固定するように戦うとしてきて、アウェーでの初戦もリーグ戦で普段出場する選手たちがメンバーリストに並んだ。それを考えても、この第2戦でいきなり大きな変更を加えることは考えづらい。まずは自分たちの普段通り、自分たちの良い部分を試合で表現することを狙いにするだろう。それに加え、初戦よりも落ち着いたボールキープと前進を図ることが期待される。

 変更される可能性がある要素は、外国人枠の使い方だ。3人+アジア枠1人が大会レギュレーションだが、浦和にアジア枠に該当する選手はいない。そして、アレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンのセンターバックコンビは不動なので、残り1人を選出することになる。初戦では長身のギニア代表FWホセ・カンテが途中出場で起用されたが、よりストライカー色の強いオランダ人FWブライアン・リンセンをベンチ入りさせる可能性は残る。

 一方のアル・ヒラルは初戦でサウジアラビア代表MFサレム・アルダウサリがレッドカードを受け出場停止。同代表MFサルマン・アルファラジも負傷欠場が見込まれる。中盤の一角には初戦にも途中出場した同代表MFアブドゥラ・オタイフの起用が濃厚だが、前線は変更を余儀なくされる。19年の決勝で浦和をかなり苦しめたペルー代表MFアンドレ・カリージョの起用を報じたサウジアラビアメディアもあるが、その場合はマリ代表FWムサ・マレガの起用が不透明になるとされていた。カタール・ワールドカップ(W杯)のアルゼンチン代表戦でゴールしたサウジアラビア代表FWサレー・アルシェフリや、ウイング色の近い同代表FWアブドゥラ・アルハムダンの出場、あるいは同代表MFナセル・アルダウサリの起用により外国人アタッカーで前線を固めるなど、複数の選択肢が考えられる。

 浦和としては、少なくとも1得点が必要なアル・ヒラルが攻撃に圧力を掛けるタイミングを見極めたメリハリのあるプレーも必要になりそうだ。初戦でも試合中にシステム変更を何回か行っただけに、スコルジャ監督も「退場者や負傷者によって変更があるのは予想している。アル・ヒラルの監督も違ったプレーを用意しているかもしれないが、私たちも用意している。初戦を見ても攻撃の形やハイプレスの形を柔軟に変える。私たちもそれに対して準備している」と話すが、それも試合のキーポイントになりそうだ。

 前日会見に出席したスコルジャ監督と興梠は、いずれも6万人近い来場が見込まれる浦和サポーターとの共闘に言及した。間違いなくアジアの中で“ラスボス級”の相手との死闘が見込まれるだけに、体力、技術を尽くした最後の1歩を左右する精神面で大きな援軍が背中についている。その力を受け、07年、17年に続く3回目のアジア制覇を埼玉スタジアムでの勝利で掴み取りたい。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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