レアル中井卓大のリアル評…Jリーグ移籍は? 出場機会減、現地番記者が去就分析「出場機会を求めるのも悪くない」【現地発コラム】

レアル・マドリード・カスティ-ジャに所属するMF中井卓大【写真:Getty Images】
レアル・マドリード・カスティ-ジャに所属するMF中井卓大【写真:Getty Images】

昨年カスティージャに昇格した中井卓大、今季ここまで2試合の途中出場 

 19歳MF中井卓大が今季、スペイン1部の名門レアル・マドリードのBチームであるレアル・マドリード・カスティージャに昇格してから9か月が経過した。

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 クラブのレジェンドで元スペイン代表FW、ラウール・ゴンサレスが指揮するカスティージャは今季、スペインリーグ3部のプリメーラ・ディビシオンRFEF・グループ1に属し、30節を終えて2位と絶好調。そんななか、中井はここまで2試合の途中出場にとどまっている。カスティージャデビューは2022年9月25日の第5節バダホス戦でボランチとしてプレーした。そして今年2月11日の第23節コルドバ戦で2回目の出番がやってきた。

 一方、チームの攻撃の中心は、リーグ戦で13得点7アシストを記録している大黒柱の21歳MFセルヒオ・アリーバスと、来季トップチーム昇格が決定的なU-20ウルグアイ代表の18歳FWアルバロ・ロドリゲスが担っている。

 そのほか、ロシアのウクライナ侵攻の影響によりシャフタール・ドネツク(ウクライナ)から買い取りオプション付きの期限付き移籍で所属する19歳のブラジル人右サイドバック(SB)ヴィニシウス・トビアスは、来季トップチームでダニ・カルバハルのバックアップを務める可能性がある。

 さらに、レバークーゼン(ドイツ)から買い取りオプション付きの期限付き移籍で加入した18歳のU-19スペイン代表FWイケル・ブラボ、ジネディーヌ・ジダン元監督の三男・20歳MFテオ・ジダン、アルゼンチンのフル代表候補に選ばれたことがある18歳MFニコ・パスなども所属している。

レアル専門誌の番記者が中井の現状を指摘「チャンスが訪れるのを待つしかない状況だ」

 シーズンの終わりが近づくなか、このようなチームに所属する中井について、レアルの専門誌「マドリディスタ・レアル」でカスティージャの番記者を務めるアルバロ・ロペス氏に分析してもらった。

 今季ここまで出場のチャンスがほとんどない中井の状況について、「それはラウールがボランチでいつもスタメン起用しているマリオ・マルティン、絶対的なレギュラーである(カルロス)ドトールに大きな信頼を寄せているためだ。中井がプレーする中盤は人材豊富でポジション争いが非常に激しい。彼の前にはさらに、出場機会が彼らほど多くないが(ハビエル)ビジャールもいる。そのため中井は今、ラウールの信頼を得て、チャンスが訪れるのを待つしかない状況だ」と説明した。

 ロペス記者が名前を挙げた中井のポジション争いのライバルと考えられる3人を見てみると、U-19スペイン代表の19歳MFマリオ・マルティンは、昨季カスティージャデビューを果たし、今季ここまでリーグ戦20試合に出場して3アシストを記録。さらにトップチームにも度々招集され、1月の国王杯準々決勝アトレティコ・マドリード戦でデビューを果たした。

 キャプテンを務める22歳MFドトールはカスティージャ3季目。今季、リーグ戦18試合に出場し6得点2アシストと攻守にわたり貢献している。トップチームに1度招集されたがデビューはしていない。アンダー世代のスペイン代表歴がある20歳MFハビエル・ビジャールは中井同様、今季カスティージャに昇格し、ここまでリーグ戦15試合に出場している。

絶好調のチーム状況、交代枠の活用法も影響 「個人的には移籍先を探すのもいいと思う」

 ライバルがいるほか、チームが絶好調であることも、中井が出番を得られない原因として挙げられるだろう。ラウールは3-5-2や3-6-1のシステムを併用して戦い、残り8試合で首位アルコルコンと勝ち点2差の2位につけ、2013-14シーズン以来のセグンダ(2部)復帰に近いところにいる。そのため負傷者や出場停止者が出ない限り、先発メンバーを大きく変えることはない。

 さらに交代枠をあまり使い切らないことも影響していると思われる。例えば最近の試合を見てみると、第27節デポルティボ戦では1度も交代を行わず、交代枠の5枚すべてを使ったのは6節前の第25節サン・フェルナンド戦だった。これにより中井に与えられるチャンスも自ずと限られている。

 またロペス記者は、このような現状を踏まえたうえで、中井の去就についても言及。最近日本で伝えられたJリーグの複数クラブからアプローチがあるという報道に関しては「何も知らない」と答えつつ、来季に向けていくつかオプションを挙げた。

「個人的には移籍先を探すのもいいと思う。その場合、中井がフベニール(高校年代カテゴリー)時代、一緒にプレーしてきたブルーノ・イグレシアスや(ラウール)アセンシオなどが在籍する、レアル・マドリードCにカテゴリーを落としてプレーするというのも選択肢の1つとなる。また期限付き移籍でカスティージャと同じカテゴリーのプリメーラ・ディビシオンRFEFの他クラブ、もしくは試合に出場するクオリティーは十分備えているので、スペイン国外のクラブに出場機会を求めるのも悪くないだろう」との見解を述べた。

レアル・マドリードCとは? 中井のかつてチームメイトだった選手たちも多数在籍

 ロペス記者が話すレアル・マドリードCというのは、実際にはテルセーラ・ディビシオンRFEF(5部)に属するRSCインテルナシオナルのこと。このクラブはレアルが来季、正式にCチームにすることを目的として買収し、中井と昨季フベニールA(U-19)でチームメイトだった選手たちが多数在籍している。

 レアルがこのチームを買収した理由は、国際サッカー連盟(FIFA)の新規定により、今季から他クラブに期限付き移籍できる選手が最大8人に制限されているためだ。これにより2015年に1度廃止したCチームを復活させ、将来性がありながらもカスティージャに昇格させるまでには至らない選手たちの受け皿にする狙いがある。

 ポジション争いが激しいチームの中、プロ1年目の日々を懸命に戦い続けている中井がどのように成長していくのか、今後も注目していきたい。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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