中国サッカー「地獄への転落」 大国化に失敗…“黄金時代の終焉”を海外指摘「ファンを絶望させた」

中国の現状とは?【写真:高橋 学】
中国の現状とは?【写真:高橋 学】

2月に中国サッカー協会会長らが汚職疑いで摘発、コロナ禍や不動産不況で大ダメージ

 コロナ禍で世界中の各業界が大ダメージを負ったなか、中国サッカー界では余波が広がっているようだ。フランスのラジオ局「RFI」は「汚職、不動産、健康危機:中国サッカー界の地獄への転落」と報じている。

 中国サッカー界では今年2月、チェン・シューユエンサッカー協会会長、ドゥ・ジャオツァイ副会長らが汚職の疑いで次々摘発されており、「合計で10人近くの中国サッカー関係者が同様の調査を受けている」という。

 記事では「汚職で調査中の関係者リストは毎週増え続けている。中国サッカー協会の副会長ドゥ・ジャオツァイは、彼の元上司であるチェン・シューユエンと同じく『重大な法律違反』で摘発された。これは中国サッカー界に影響を与える反腐敗キャンペーンの網にかかったことを意味する」と指摘している。

 近年の中国サッカーと言えば、世界中のスター選手たちを獲得する“爆買い”が脚光を浴びた。移籍金6000万ユーロ(約86億円)の元ブラジル代表MFオスカル(チェルシー→上海上港)、同5580万ユーロ(約80億円)の元ブラジル代表FWフッキ(ゼニト→上海上港)などの実力者を次々獲得するなど、欧州から中国へ流れる新ルートは記憶に新しい。

「2010年からの10年間は、お金が自由に流れた中国サッカーの黄金時代として記憶されることだろう。国際サッカー連盟によると、中国スーパーリーグはこの期間に移籍金として20億ドル(約2644億円)を費やした。2016年だけでも、中国のクラブは4億5千万ドル(約590億円)を浪費した」

 ところが社会情勢が変わり、中国サッカーは斜陽化していく。「2020年以降、コロナウイルスの流行が拡大し、2021年2月に廃業した江蘇蘇寧FCのように、39の中国のプロクラブが姿を消した」と説明。中国不動産大手の中国恒大集団が経営危機に直面すると、保有するサッカークラブ・広州FCも弱体化し、「不動産とサッカーの融合という黄金時代の終焉を象徴するように、広州FCが昨年2部リーグに降格した」と伝えている。

 中国サッカー界は代表チームの強化にも乗り出し、2018年以降は外国人選手の帰化を積極的に推し進めてきた。しかし、ここでも中国の“サッカー大国化”は頓挫。「代表チームはいまだにワールドカップ出場を果たせず、中国のファンを絶望させた」と言及した。

 コロナ禍、不動産不況、汚職などで揺れる中国サッカー界。世界から注目を浴びた“黄金時代”は過ぎ去ったようだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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