森保監督に付きまとう“4つの不安” 続投への課題、解消できない後任適合者の不在

スタメンの大半が海外でプレー【写真:ロイター】
スタメンの大半が海外でプレー【写真:ロイター】

森保監督が「戦術の指示を与えていい」と見極められるかは未知数

【2. 海外でプレーする選手たちの信頼を勝ち獲ることができるか】
 現在、日本代表の中で主力になったのは海外組、しかも強豪チームで活躍する選手になってきた。選手たちはリーグ戦で相手をいかに圧倒して勝つかという戦いを続けている。

 ところが、日本代表で強豪と対戦する時は所属クラブでの戦い方とかけ離れた、耐えるプレーを余儀なくされる。当然のごとく選手にはストレスが溜まるはずだし、日頃自分が見せている良さを発揮したいと思うだろう。

 また、森保監督は8月2日にこんな発言をしている。

「日本人のほうがより規律があって、よりルールが明確で、とずっと思っていたが、ヨーロッパでプレーしている選手たちのほうがより役割を徹底するよう、監督やコーチからすごく指示を受けている」

「選手たちが普段やっていることに我々が近づいていくことで、選手たちは違和感なく戦いに臨める、そして我々が要望することを自然に受け止めて思い切ってプレーできるようにしていく環境作りはしていかなければいけない。日本人は何かやろうとしたらみんな察して自分ができることを見つけてやっていくことが多く、実はルール的には縛られていないことが多い」

 この発言の中には、海外での経験が長い選手に対しては、より細かく具体的な役割を指示したほうがやりやすいのではないかという点も含まれている。この点において全体の合意形成を行う森保監督の手法は戸惑いを生むのではないか。

 ただし、森保監督がこの4年間で取り組んできた「状況に応じて勝つためにどうしたらいいか、流れを掴むためにどうしたらいいかを選手が判断して選択できる」というチーム作りから言えば、森保監督の方法論を間違いとは言えない。

「選手は自分で判断ができるようになった」と「判断」し、より「戦術の細かいところの指示を与えていいのかどうか」を見極める力を森保監督が持っているか、その点については未知数だ。

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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